第28回 大学・大学入試情報コラム

長引くコロナ不況で、家計の逼迫が目立つ。
受験費、大学入学費用、生活費も大きな負担となっている。
先ず、「受験費用」を節約するには、どんな方法があるかを考えてみたい。 

2021年12月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

貸与型奨学金は前借り、返済が必要
 2年間にわたる新型コロナ禍で、国の経済活動が停滞し、家計を圧迫する状況がある。その中での大学進学は、受験生を抱える家庭にとって、大きな負担になる。そんな折、念頭に浮かぶのが、「奨学金制度」の活用だ。
 その代表格は「日本学生支援機構」の奨学金制度。それには、(1)給付(返還義務なし) (2) 貸与(返還義務あり) (3) 減額・免除(入学金や授業料の全部または一部を減額・免除) の3つのタイプがある。(2)の貸与は借金、卒業後の返還を肝に銘じて、利用して欲しい。

各大学にある独自の「奨学金制度」
 私立大学では、独自の奨学金制度を実施している。その1つで、受験前に奨学金の給付が確約できる「入学前予約型給付奨学金」は、申請⇒受験⇒合格⇒入学手続 を経て、採用となる。申込締切が早いから、確認が必要だ。学部で異なるが、年額50万円前後の給付が多い。
 また、大学によっては、特待生(スカラシップ・奨学生)選抜を実施している。これは、優秀な学生を獲得するために実施するケースが多く、入試(選抜試験)結果や高校在学中の成績がポイントになる。さまざまな特典(学費の全額免除や減免など)があるため、大学のランクを下げて挑戦する受験生もいる。

大学の制度をフル活用し受験費節約
 給付型の奨学金、特待生となると、「優秀な学生」という壁があり、ハードルが高くなる。そこで別途、選抜方式などによって、受験費用を節約する方法がないか、見てみよう。
【1】共通テスト利用選抜
 私立大学の共通テスト利用選抜の受験料は、1万5000円~2万円のケースが多い。普通、一般選抜は1校の受験料3万円~3万5000円が相場だから、共通テスト利用選抜は割安になっている。中でも、千葉工業大学は受験料を無料にして志願者を増やし、話題になった。受験生のレベルアップを狙った戦略だろう。
【2】学部統一選抜
 一般選抜の1つで、1回の受験で同じ大学内の複数の学部を併願できる方式。学部や学科の多い大学で実施されており、2学部(学科)目以降の併願で受験料割引になるケースが多い。経済・商・経営など似た学部の場合は、志望変更とまではいかず、抵抗感が少ないようだ。
【3】地方試験会場選抜
 試験会場を、大学の所在地外の地域に設置している大学は多い。コロナ禍の中で、長距離の移動を避ける意味で、試験会場が地元の近くにあれば便利だ。交通費や宿泊費の節約になり、バカにならない額になる。人気があり、志願者の多い大学が実施している。
【4】試験日自由選択制
 「試験日自由選択制」を実施している大学もある。多くの場合、2~3日をずらせることが多いから、試験日を調整することによって、1回の受験旅行で2校受験することも可能になる。このように僅かな工夫で、受験費用を節約することもできる。

割引や工夫で家計の負担を少なく
 これらの他に、いろいろなケースで割引制度を実施している大学もある。ポピュラー化しているが、「併願割引」(同じ大学内での併願時に割引を行う制度で、大学によって割引額が異なる)や「インターネット出願割引」(最近はネット出願が当たり前になり、利用する学生は多い)などで、出願費用の節約を心がけたい。
 このようにちょっとした工夫で、家計での負担を軽くすることもできるから、情報を収集して、アドバイスの引き出しを多くしておくことも大切になる。

対面授業の復活は22年度に期待
 最近のわが国では、新型コロナの新規感染者が激減して、経済活動の急速な再開が叫ばれている。また、今年の秋期に実施された全国模試では、関東地区において首都圏の大学への志望者が、前年より増加している。
 大学生の約8割がワクチンの2回接種を終了した。そこで、大学や学生の現状をチェックしてみたが、本格復活は次年度になりそうだ。
【1】大学行事(大学祭・入学式)の復活
 1)大学祭:ネット併用で、実施する大学が増加。
 2)入学式:4月に中止していた大学が、秋口に遅ればせながら実施した。
【2】授業・部活・バイトの現状
 3)授業:首都圏の大学でも対面授業が徐々に増えている。オンライン授業の枠組み・予定を、簡単に崩せないのが大学の悩み。
 4)部活:体育系は日々の鍛錬が欠かせないため、活動を実施していた。文化系は先輩・後輩のタテの交流が少なく、復活に時間を要する。
 5)バイト:コロナ前に戻すには時間がかかる。

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