第26回 大学・大学入試情報コラム
新型コロナ感染者が激減している。
そのまま推移すれば、22年度入試の動向は変わるはず。
2年目の「共通テスト」は難化のジンクスがあるが、その理由のポイントは?
2021年11月
大学&教育ウォッチャー 本間 猛
コロナ沈静化で以前の状況に戻る?
新型コロナの新規感染者数が激減している。このまま減少状況がキープされれば、入試の流れの大枠は変わらないにしても、一部に変化が見られるかもしれない。
人の流れが可能になれば、受験生の移動が容易になる。コロナ下の「地元志向」が緩やかになり、地方から都市部の大学にチャレンジする学生が増える、と予想される。難関私立大学もコロナ禍で繰り上げ合格者が急増し、難易度を下げる傾向があった。狙い目大学への挑戦が、容易になるかもしれない。
22年度共通テストは例年通りの日程
22年度入試の概要が見えたところで、「特徴」を今一度チェックしておきたい。
【1】22年度入試スケジュール
22年1月15・16日 共通テスト 本試験
1月29・30日 共通テスト 追試験
1月中旬~ 私立大学の一般選抜
2月25日~ 国公立大学の前期日程
3月8日以降 公立大学の中期日程
3月12日以降 国公立大学の後期日程
【2】22年度共通テスト出願状況
21年10月7日(木)17時現在(受付最終日)
出願総数 50万1981人(前年51万4651人)
現役:43万3491人(前年44万555人)
浪人:6万8490人(前年7万4096人)
最終発表は12月7日(予定)。因みに、21年度の確定志願者数は53万5245人だった。
個別検査では「小論文」を課すが多い
文科省は9月29日、「22年度国公立大学入学者選抜の概要」を公表した。それによれば、2段階選抜実施大学は、70大学・190学部が実施予定で、前年より2校増加した。
【3】一般選抜:個別学力検査等
個別学力検査(2次)等では、どのような検査が課せられるのか。多い順では、①小論文:132大学・269学部、②面接:129大学・270学部、③実技検査:60大学・68学部、④総合問題:44大学63学部、⑤リスニング11大学22学部だった。小論文・面接が圧倒的に多い。
前年より小論文・リスニングが各1校増加、面接・総合問題が各2校、実技検査が1校減少した。
総合58%・学校推薦型96.6%が実施
現在実施中で、大いに注目されているのが、総合型選抜と学校推薦型選抜だ。
【4】国公立大学の総合選抜
実施大学・学部数:102大学335学部
共通テストを課す:53大学149学部
共通テストを免除:89大学241学部
【5】国公立大学の学校推薦型選抜
実施大学・学部数:170大学486学部
共通テストを課す:99大学259学部
共通テストを免除:139大学325学部
総合型選抜と学校推薦型選抜を行う国公立大学は過去最多となった。総合型選抜を実施するのは全国公立大の58%、学校推薦型選抜は96.6%が実施。それぞれ前年度より3大学増えた。国公立大全体の募集人員は、前年より111人増加し12万7330人となった。
これらは国公立大学の状況だが、私立大学では殆どの大学で総合型・学校推薦型選抜を実施しているが、共通テストを課すケースは少ない。外部検定試験の利用などが目立つ。
「2年目共通テストは難化」は本当か
入試関係者の間で、よく話題に上るのが22年度「共通テスト」が難しくなるか、易しくなるかの予想だ。初めての21年度「共通テスト」の平均点は、前年よりも下がるのではないかと予想されていた。
ところが、ふたを開けてみると、教科によっては問題量が増えるなど、確かに難化はしたものの、国語・数学・英語の合計の平均点は前年のセンター試験を上回った。主要科目のうちほぼ半数で、前年のセンター試験を上回る「予想外」と言える結果だった。
【22年度難化予想の理由】
1)約40年前の「共通1次試験」、約30年前の「センター試験」とも、2年目は平均点が下がり、難化した。
2)プレテストの不振問題が出題されなかった。国語の実用文で、契約書・規約・実用的な条文等に関する問題。2年目は出題されそうだ。
3)英語の初年度は、筆記が「リーディング」に変わり、配点も変更された。読解の英文量は1000語以上増加。「リスニング」も配点や読み上げ回数が 変わり、問題数、音声も400語程度増えた。これは、難化に繋がる要素だろう。