第68回 大学・大学入試情報コラム

2024年度「共通テスト」が実施直前だ。試験直後には自己採点が始まり、合否判定の結果が出る。それを踏まえて、どのようなチェックをしながら、2次出願をするのがベターかを考えてみた。

2024年1月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

「共通テスト」志願者数49万1913人
 「入試情報」と言えば、大学入試センターが2023年12月5日に公表した「2024年度共通テスト」の確定志願者数等を紹介しないわけにはいかない。2024年1月13日・14日に実施される「共通テスト」は、現行の6教科30科目で構成される最後の試験となり、注目度が高まっているからだ。
 志願者数は49万1913人、前年度比2万668人の減で、1992年度(平成4年度)の大学入試センター試験以来32年振りに50万人を下回った。志願者の内訳は、高校等卒業見込者(現役生)が前年度比1万7340人減の41万9533人、高校等卒業者(既卒者)が前年度比3422人減の6万8220人、高卒認定等の志願者が前年度比94人増の4160人だった。

「共通テスト」を利用する大学は707校
 また、2024年3月高校等卒業見込者(現役生)のうち、共通テストに出願した者の割合を示す「現役志願率」は45.2%となり、これは前年度から0.1ポイント上昇し、過去最高を更新した。
 さらに、何らかのトラブル等で13日・14日に受験できなかったケースによる「追・再試験」は、1月27日・28日に実施される。
 因みに、共通テストを利用する大学・専門職大学・短期大学の総数は、前年度比6校減の864校。このうち、大学は707校(国立82校、公立95校、私立530校)、専門職大学は10校(公立2校、私立8校)、短期大学は147校(公立13校、私立134校)だった。

テスト終了後の自己採点で合否判定
 「共通テスト」終了後の午後7時ころから、大学入試センターは試験の正解を公表している。模試業者によって呼称は異なるが、受験生は「自己採点」が可能になる。
 所定の手続きで自己採点業者に、自分の解答、志望大学等を記入して提出すれば、試験が実施された週の木曜日か、金曜日には、科目の平均点や合否判定等の成績結果がフィードバックされる。
 結果の主な内容は、科目別・全体の偏差値や平均点、順位など。さらに、志望校別の成績・評価では合格可能性の判定、ボーダーラインとの得点差、志望者内での順位などが表記されて手元に届く。

受験者の中での「自分の位置」を確認
 自己採点結果を見た時点で、受験者が先ずすべきことは、志望校の判定結果(A~E)と席次の確認。因みに、合格可能性判定の目安は、A(80%以上)、B(60%以上)、C(50%前後)、D(20%以上)、E(20%未満)などの5段階で評価されることが多い。
 次に、志望校の共通テストと2次試験の配点比率、さらに2次試験の科目と配点をチェックしておく。また、これらを確認した後で、改めて志望校の2次試験の過去問に挑戦してみる。この時は、合格者最低点ではなく合格者平均点の獲得を目指す。

ボーダーラインは合否の可能性50%
 次の時点では、このデータを活用してどの大学に2次出願をするか、「共通テスト利用入試」を活用して、どの私立大学に出願するかがポイントになる。530校もの私立大学が、利用入試を実施しているのだ。
 ところで、ボーダーラインとは合格者と不合格者の割合が半々、つまり50%になる得点ラインのことだ。このライン引きは、前年のデータをベースにし、今年の難易度や平均点、学部・学科の人気度、入試全体のトレンド等を加味して、業者が決めている。
 したがって、複数の業者の結果を入手して比較・分析するようにしたい。2024年度の変更点を各業者がどのように反映させたかなどと、収集したデータ数によって、ボーダーラインが異なるケースも出てくる。

「判定Cで安心せず、Dで諦めず!!」
 上記で示した判定結果では、「Cで安心せず、Dで諦めず」がポイントになる。
 D判定でも「逆転合格」は毎年みられるから、初志貫徹で出願した方がベターな場合も出てくる。国公立大学では、出願(1月22日~2月2日)から前期日程試験(2月25日)までは20日間余もあるのだから、ラストスパートの効果も無視できない。
 私立大学では、前年の合格最低点との比較ではなくて、合格者の平均点との比較を重視して出願するようにしたい。合格最低点は、毎年動く場合があるから注意する。

やはりD判定のケースでは変更も必要
 このように見てくると、自己採点結果でA判定だった受験生はそのままの力をキープ、B、C、Dに位置する場合は2月25日までの追い込みいかんで逆転もあり得るので、諦めないで努力を続けることだろう。
 しかし、Dのケースでは第2志望、第3志望、私立大学への志望変更なども考慮しつつ、受験大学を選びなおして出願したい。
 一方、2025年度「新課程入試」では、既卒者(浪人生)に「移行措置」を導入する。過去の例では、移行措置で易しくなったケースもある。経済的な余裕がある場合は、「浪人覚悟での初志貫徹もあり得る」かもしれない。

本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です