第65回 大学・大学入試情報コラム

2024年度「年内入試」がスタートした。「総合型選抜」「学校推薦型選抜」は「小論文」「面接」がポイント。対策は? 「英検」が準2級と2級の間に新級導入。その狙いは?

2023年10月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

2024年度「年内入試」の志願者増加
 2024年度年内入試は、「総合型選抜」を皮切りにスタートした。私立大では、一般選抜の定員が減り、「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」などの年内入試で入学する学生が、50%超になっているのだ。
 従来は、学生を早めに確保したい中堅以下の大学が盛んに早期入試を実施していたが、コロナ禍以降は、風向きが変わって来た。
 この傾向は難関私立大にも及び、早稲田大では付属校等からの進学者や指定校推薦などの入学者を含めると、年内入学者は2023年度で43%に上っているのだ。慶應義塾大も、ほぼ同様の数値を示している。
 年内入試は「総合型選抜」「学校推薦型選抜」であり、調査書等の出願書類の作成で担当の教員は大忙しと聞く。そこで今回は、年内入試で重要になる「小論文」「面接」について、入試関係者や合格者が指摘するポイントをいくつか紹介してみる。

小論文は「経験を踏まえて論述する」
 「小論文」は、与えられたテーマに対して自分の意見を論理的に述べるものだが、受験生が「小論文」と「作文」の違いをしっかり理解していない、と指摘する関係者は多い。作文は、「自分の経験や知っていることについて書くこと」で、この段階のレベルで留まっている答案が目立つという。
 小論文では、多くの人々の意見や論理をベースにするだけではなく、「自分はこういう経験をしたからこそ、こう考えている」という要素があるほうが、高く評価されるのだ。
 小論文の論理構成は、「序論」:15%⇒「本論」:65%⇒「結論」:20%が目安になる。

「内容性」「論理展開能力」に注意する
 大学では、どのような視点から「小論文」を採点しているのだろうか、一般的な例を紹介しておこう。ウェイト付け(%で示す)を頭に入れてまとめていく。
1.表題:明確さをチェック(15%)
2.内容性:発想のユニークさ、アイデアの斬新さ・豊富さ、正確さなど(30%)
3.論理展開能力:構成力、論理展開の明確さ、矛盾はないか、など(30%)
4.文章表現能力:文章表現の豊かさ、表題を正確に捉えているか(15%)
5.漢字や仮名遣い:正確さ(10%)
 制限字数のオーバーは許されない。
 上記を念頭にまとめていく。

面接で「学び、大学への熱意伝える」
 年内入試では「面接」が大きな要素になる。特に「総合型選抜」は“お見合い入試”とも言われ、数回の面接もある。学びたい熱意が、大学にうまく伝われば合格も可能だ。
 予め示された大学の入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)の理解度、志望理由、意欲等を重視し、大学の裁量度が高いのが「総合型選抜」だ。
 面接は「個人面接」「グループ面接」の2種類。大学によっては、コロナ禍以降は「オンライン面接」もある。そして、面接で話す内容は、願書や志望理由書と矛盾がないようにすることが大事だ。
 面接官は受験生の人間性を見たいと考えているから、応答の際には目をそらさないで正面を向き、入学への熱意を自分の言葉で伝える。所作や言葉遣いにも、注意を払う。

英検が「準2級と2級の間に新級」
 私立大を中心に、民間の「英語検定試験」を入試に活用している。以下は、受験生が利用した外部検定。「実用英語技能検定(英検)」90.0%、「TEAP(ティープ)」6.8%、「GTEC(ジーテック)」2.2%、「IELTS(アイエルツ)」0.6%、「ケンブリッジ英語検定」0.2%、「TOEFL(トーフル)」0.2%、「TOEIC(トーイック)」0.1%(出典:2023.09.02 旺文社教育情報センター)などだ。
 最も利用者が多い「英検」が9月29日、2025年度から「準2級」と「2級」の間に新たな級を導入する方針を公表した。新設は31年ぶりで、難易度は高校2年修了程度を想定。準2級と2級はレベル差が大きいとの指摘を反映した。その解消目指す。
 英検によると、現在は5級から1級まで7つに分かれており、準2級は高1修了程度、2級は高3修了程度の学力を目安にしている。

大学は「レベルが明確になる」と歓迎
 私立大の「総合型選抜」の関係者からは、歓迎の声が上がっている。調査書の成績だけでは高校間格差があるため、英検等の取得級を加味して学力レベルを推測し、合否の判定に活用してきた。ところが、今までは準2級と2級では格差が大き過ぎるという悩みがあったが、今回の新級の設置で、それが解消されることになるのだ。
 英検の受験者データの分析では、3級取得者が準2級に合格するまで平均約1年だったが、その後、2級に合格するまで平均2年近くかかっていた。
 大学によって利用の仕方は様々だが、基準を満たすスコア・級の取得を出願の要件にしている場合がある。また、取得している級やスコアによって大学の個別試験の点数に換算したり、加点したりすることもある。
 「総合型選抜」「学校推薦型選抜」や、私立大の一般入試で利用できる場合も、2025年度以降は、表記が変更されるだろう。いずれにしても、上手に活用していくことが大切だ。

本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

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