第60回 大学・大学入試情報コラム

2024年度共通テストは、コロナ前のスタイルで1月13、14日に実施。また、入試センターが2025年度新課程共通テストの出題教科・方法、問題作成方針等を公表した。

2023年7月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

24年共通テストは1月13、14日実施
 大学入試センターは6月9日、来年1月13日(土)、14日(日)に行う「2024年度大学入学共通テストの実施要項」を発表した。試験の要項は前年度と同様だが、新型コロナの特別対応、マスク着用義務などがなくなり、追試験(1月27日、28日)の会場はコロナ禍前と同じ、東京と関西の2会場となる。
 受験案内を9月1日から配布し、出願期間は9月25日~10月5日。試験は、1日目に「地理歴史・公民」「国語」「外国語」、2日目に「理科」「数学」を実施する。解答は全てマークシート方式。これらは、前年度と同じで変わらない。

「2025年度新課程共通テスト」に注目
 高校では、6月9日に大学入試センターから公表された「2025年度共通テストの出題教科・科目の出題方法等・問題作成方針・その他について」が話題になっている。
 2025年度は、新課程による初めての共通テスト(2025年1月18日、19日実施予定)であり、出題教科・方法、問題作成方針、問題冊子、解答用紙、得点調整の条件・方法などの情報に注目が集まったのだ。
 それらの情報は、大学入試センターのホームページに詳報されている。

6教科30科目から7教科21科目へ
 公表された「2025年度新課程共通テスト」の全般、及び「国語」「英語」に注目しながら特徴等を紹介したい。2025年度からは新たな教科「情報」が加わり、現行の6教科30科目から7教科21科目へと再編する。
 刷新される主な教科・科目は地理歴史・公民で、現行の10科目から6科目に再編。「地理総合、地理探究」「歴史総合、日本史探究」「歴史総合、世界史探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「地理総合/歴史総合/公共」の6科目から最大2科目を選択し、解答する。1科目選択60分(100点)。2科目選択130分(200点)。
 数学は①「数学Ⅰ、数学A」「数学Ⅰ」から1科目を選択し解答する。70分(100点)。数学②は「数学Ⅱ、数学B、数学C」で、数学B、Cについては4項目のうち3項目を選択解答する。70分(100点)。
 理科は「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」「物理」「化学」「生物」「地学」の5科目のうちから、最大2科目を選択解答する。1科目選択60分(100点)、2科目選択130分(200点)
 情報は「情報Ⅰ」で、60分(100点)。新指導要領で必修化された科目「情報I」から出題し、プログラミングなどを問う。

国語は近代以降の大問が1問追加
 国語は、大問が1つ追加されることによって、試験時間が10分延長され、90分(200点)になる。「現代の国語」及び「言語文化」を出題範囲とし、近代以降の文章及び古典(古文、漢文)を出題する。
 「国語」の分野別の大問数及び配点は、近代以降の文章が1~3問110点、古典が2問90点(古文・漢文各45点)とする。

設問分野配点
第1問近代以降の文章45点
第2問近代以降の文章45点
第3問近代以降の文章20点
第4問古典(古文)45点
第5問古典(漢文)45点


 第3問は、図表等を関連させた、過去になかった新傾向の問題が予想される。問題の作成に当たっては、異なる種類や分野の文章などを組み合わせた、複数の題材による問題を含めて検討するとしている。

英語はCEFRのA1~B1レベル目安
 新課程ではあるが、表面的には「英語」が一番無風かもしれない。英語は「英語コミュニケーションⅠ」「英語コミュニケーションⅡ」及び「論理・表現Ⅰ」を出題範囲とし、【リーディング】80分(100点)及び【リスニング】60分(100点)を出題する。
 【リスニング】は、音声問題を用い30分間で回答を行うが、解答開始前に受験者に配布したICプレーヤーの作動確認・音量調節を受験者本人が行うために必要な時間を加えた時間を試験時間とする。
 高大接続改革の中で、入学者選抜において「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の総合的な英語力を評価することが求められている。また、英語の学力が適切に識別できるよう、評価のためのヨーロッパ共通参照枠(CEFR)のA1~B1レベルを目安として問題のテクスト、使用する語彙、タスクなどを設定し、問題を作成するとしている。
 2025年新課程入試に関して、各大学は本年度中に公開すること(「2年前予告」)になっている。しかし、現況では足並みが揃っておらず、2次個別試験の内容、新科目「情報Ⅰ」の扱い方などが明確になっていない。今しばらく、新課程入試の情報を注視する必要がありそうだ。

大学&教育ウォッチャー本間 猛:東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です