第20回 大学・大学入試情報コラム

2022年度「共通テスト」の難易は、どうなるのか?
関連情報を求めて、入試センターの「問題評価・分析報告」に
アクセスする教科関係者は多い。21年度の評価・分析で難易を予測したい!!

2021年8月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

「共通テスト」英語民間・記述式困難
 文科省は7月20日、「令和2年度文部科学白書」を公表。その中でコロナ禍の対応を含めて、「『令和の日本型学校教育』の構築」を特集した。「情報通信技術(ICT)の活用」や、拡大した「オンライン教育」については、対面教育と適切に組み合わせて行くべきだとした。
 また、文科省の有識者会議は6月22日、大学入学共通テストでの英語民間試験の活用と記述式問題の導入について、「実現は困難」とする提言案を公表。英語の4技能(「読む」「聞く」「書く」「話す」)を評価するため、各大学の個別入試で英語民間試験を推進し、記述式問題の出題も促すべきだとした。
 英語4技能:高額な受検料や受検会場の地域格差、記述式問題:質の高い採点者の確保、短期間の採点など――が克服できない理由だ。これを受けて同省は、近く各大学に通知する。

高校までの学びを大学に繋ぐ連続性
 高大接続改革では、知識偏重の是正等のため新たに「共通テスト」を導入した経緯がある。一方、すでに中学校では新しい「学習指導要領」に基づいて授業を実施し、高校も2022年度から進行する。「学力の3要素」の具現化、英語4技能の重視等は実施されつつある。
 高大接続の問題点は、高校までの学びが、大学での学びにつながっていないことだった。文科省は連続性を重視し、英語民間試験の活用など、入試改革に積極的に取り組む大学への補助金を増やす、という。例えば、「4技能」の総合的な英語力を評価する、記述式の問題を出題する、文系で数学を必修化する――などだ。

参考にする教員が多い「評価・分析」
 2022年度入試では、2年目の「共通テスト」の難易が注目されている。21年度が予想以上に易しかったため、反動で難しくなると見られている。その折、検討にあたって、多くの教員が以下の「報告書」に注目している。
 大学入試センターが6月30日に公表した、「共通テスト問題評価・分析委員会報告書」である。この評価・分析委員会は、センター試験時から実施されており、次年度の問題作成において参考資料となっている。
 因みに、外部評価・分析委員会には、高校関係者も参加している。詳細は、大学入試センターのホームページに掲載されている。
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/hyouka.html
 各教科について、出題された試験問題の内容、範囲、分量、程度、表現、形式等について、まず、外部評価分科会が評価を行い、また、これとは別に、各教科・科目に関連が深い関係教育研究団体も意見・評価をしている。

[第1問]問5:新傾向の問題を評価
【国語】
第1問:フィクションとしての妖怪
第2問:「羽織と時計」W君の重い圧迫
第3問:「栄花物語」古文を読み取る力
第4問:「有馬示徐無黨」馬車の操縦「御術」
<分量・程度>解答数は38で、適切。
<難易度>文章レベルは妥当。難易度は適切。
<総括的評価>[資料]や[文章]も量、難易度とも適切。次年度以降も、受験者が十分に思考し、判断する時間の確保を求めたい。
[第1問]問5は新しい傾向の問題。知識・技能だけではなく,思考・判断・表現の力を共通テストに組み入れようとした問題か。リード文も丁寧で良い。

リーディングとリスニングのバランス
【英語(リーディング)】
 大学教育を受けるのに必要とされる基礎力と高校段階における英語学習の達成度を判定することを狙いとしており、CEFRを参考にCEFRのA1からB1レベルに相当する問題ということが,作成方針に掲げられている。
 様々なテクストから概要や要点を把握する力や必要とする情報を読み取る力等を問う問題となっており,総語数は,センター試験と比較し25%以上増加。全体としては、平均点を含めてほぼ理想的な結果になった。
【英語(リスニング)】
 読み上げの回数は2回と1回の混在となり,総マーク数は37となったが,受験者に大きな負荷がかからなかった。
<形式等の特徴>本テストにおいては,実施時間は30分のままセンター試験からの変更はなかったが,1問当たりの配点に1~4点の幅を持たせるとともに,読む回数も2回読み(第1問と第2問)と1回読み(第3問~第6問)に分け,満点は100点となった。
 本テストでは「リーディング」と「リスニング」がともに100点満点で構成されていたことからも,より英語4技能のバランスを意識したものであったと評価する。
 夏季休暇時には、ご一読願いたい。22年度入試は、21年度の延長線上にありそうだ。

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