第2回 大学・大学入試情報コラム

「人災」と「天災」のダブルパンチ!!
2021年度受験生に同情はするが、嘆いても始まらない!!
コロナ禍は日本全国みな一緒、「やるっきゃない」と生徒に伝えたい!!

2020年10月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

不運続いた「受験生」「教育現場」
 オリンピックの延期を含め、2020年ほど“ツキのない年”を最近は知らない。特に、大学受験をしようとする学生、それを指導する高校現場が、戸惑い、混乱に陥ったことは想像できる。予想もしていなかった未曾有の「人災」と「天災」が同時に襲って来たからだ。
 30年振りの入試改革で「共通テスト」が導入されるとあって、受験生も高校の指導現場も、時間的な余裕がない中で、急ピッチで準備を進めていた矢先のことだった。
 改革の目玉と言える「英語外部資格・検定の活用」(英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能を評価)と「国語・数学の記述式」(マークシート方式に記述式を加えて知識偏重を解消)が、2021年度に導入されず、急遽見送られることが決まった。国民の意向とは言え、文部科学省の方針転換は、正に「人災」である。
 今なお、世界や日本中を恐怖に陥れている「新型コロナウイルス」の蔓延があり、これは「天災」だ。春以来、大学や高校などは休校せざるを得なくなった。どこの学校も登校できず、授業の中止が続いた。受験生は、先の見えない不安感で、ストレスを貯め込んだ。
 地域や学校で時間差はあったが、多くの大学や高校が、「オンライン授業」を展開した。そのオンライン教育で、日本が「先進国で最下位」という件は、稿を改めることにしたい。

思わず『ホモ・デウス』が浮かぶ
 コロナ禍に遭って、1年程前に読んだ、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが書いた世界的ベスセラー『ホモ・デウス』-テクノロジーとサピエンスの未来-(河出書房新社刊・上下)を思い浮かべた。
 そこには、人類は「飢餓・疫病・戦争」という3つの厄災によって多くの命が奪われ、存亡の危機に直面して来た。その3つをいかに克服するかが人類のテーマになった、と――。今回のコロナ禍は、5~15世紀にわたって大流行した中世ヨーロッパの黒死病、現代版ペストを連想させるものだった。
 『ホモ・デウス』では、今回のコロナ禍を予想はしていなかったが、著者のハラリはインタビューなどで、コロナを克服した後もAIなどを駆使した監視システムが残り、予想もしなかった監視・管理社会が到来するというのだ。現在の、米中の係争に繋がっているような気がする。コロナ禍は、今後も目が離せない。

考え方は理解したが拙速だった
 文科省は、世界や社会情勢に対応するために、学力の質を変えて、知識や技術をベースに、「思考力・判断力・表現力」を重視する「学力の3要素」を決めた。これからの日本の教育目標は、この3要素の修得になったのだ。小学校では、すでに新学習指導要領が始められている。
 教育関係者の多くは、学力の3要素に理解を示した。また、入試改革も理念に賛成したが、その実施工程には拙速を危惧していた。「英語」では受験の機会均等、「記述式」では採点の公平性などが問題となり、解決されなかった。
 さらに、コロナ禍による休校、授業の遅れについて文科省や大学は、「共通テスト」2回実施、「個別試験」の出題範囲の配慮や追試験の実施などの対応をとった。受験生にとって、考慮はあった方が助かるに違いない。

自己採点に例年の正確さはない
 受験生の戸惑いの1つは、「過去問」がないことである。初めて実施される「共通テスト」なのだから当然だが、過去問は問題のレベル、形式、分野などを教えてくれる。残念ながら、過去の本番問題は存在しない。基礎力をつけた後で、試行問題をベースにした、模試や予想問題集にチャレンジして、実戦力を身につける。
 また、模試業者などによる、共通テスト(第1日程:1月16・17日、受験希望者数:約43万人)の「自己採点」(試験後に解答を見て自己採点し、志望大学を記入して業者に提出)データによって、合否予測がなされる。
しかし、第2日程(1月30・31日)は、個別試験出願(2月5日)まで時間が少なく、合否判定データの使用は難しい。第1と第2では、得点調整が行われず、例年の正確さはない。