第24回 大学・大学入試情報コラム

新型コロナ対策のワクチン接種者が増え、
新規感染者数が減少。受験生のワクチン接種も進んでいる。
秋は「実戦力強化」の好機で、主役は「過去問」。その活用のポイントは?

2021年10月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

「実戦力強化」に努めて自信を得る
 ワクチン接種の広がりによって、新型コロナの新規感染者数が減少し、全国各地から受験生の早期ワクチン接種も報道されている。入試に影響を与えないことを願うばかりだ。
 一般的な受験準備の流れでは、1学期(前期)の「基礎力養成」、夏休み期の「不得意克服」と続き、2学期(後期)は「実戦力強化」となる。実戦力とは、入試レベルの問題に挑戦し、合格点が取れるような力を身に付けること。これは、「問題演習」によって培われる場合が多い。
 秋になると、多くの受験生は志望大学別の赤本等を買い込み、「過去問」への挑戦を始めるが、それには効果を上げるための注意点もある。

「過去問」の挑戦で志望校の変更も!!
 受験生は、「過去問」を活用する意義や心構えなどを理解しながら、アタックして欲しい。
 ①「過去問」には、本番のつもりで挑戦
  制限時間を守り、集中し、真剣に取り組む。
 ②志望校に合格する可能性はあるか
  「過去問」挑戦の結果によっては、志望校を変更。合格の可能性を、自分で判断する。
 ③入試では「満点」を必要としない
  入試科目の合計が、満点の60~70%で合格。現段階で、満点の20~30%は厳しい。科目に凸凹がある場合は、凹の補強に努める。
 ④弱点を補強して他の年度版にアタック
  2週間以上をかけて補強し、年度の違う「過去問」に挑戦。合計が前回より上昇したら、 自己判断で、ゴールを見据えて志望を継続。
 ⑤出題形式や分野・設問の傾向を把握
  大学によっては、出題形式等に特徴がある。そこを重点的に補強することも、有効。

「問題演習教材」は3つに大別できる
 実戦力をつけるには「問題演習」が最適なのだが、ではどのような教材があるか。
 実際の大学入試で使用された「過去問」、毎月のように実施されている業者の「模擬試験問題」、学参出版社等の「予想問題集」の3つに大別できる。そして、それぞれに特徴がある。
 何回となく繰り返して使用すれば、確実に実戦力はつく。一度間違えた問題を含めて、2~3度は挑戦し、解答・解説も精読する。
【過去問】過去の入試問題だから、問題数に限りがある。共通テストは年度版であり、自己採点の観点から試験当日の夜19時以降に答え、またテスト結果 の詳細なデータも、後日公表される。2次試験問題は「過去問」として、各大学別に市販されている。
【模擬試験問題】模試の受験者しか、問題は入手できない。試験の出題範囲は、実施時期までに習ったところとなっている。秋に実施される模試が、入試の全範囲に近い。模試は解答・解説が詳しく、弱点の補強に役立つ。大学別の模試は予備校実施で、難関大学に限られる。
【予想問題集】出版社・予備校系の「予想問題集」は、年度版として多く出版されているが、分野・項目別の構成が多い。科目ごとに全項目を扱った問題となっている。一般的に、試験形式ではないから、得点のチェックはできない。

「共通テスト」の出題形式は見えた!!
 共通テストは、スタートして1年しか経っておらず、「過去問」は1年分しかない。しかし、前年の2021年度は、コロナ禍の影響で、第1日程と第2日程を実施したので、2回分の「過去問」がある。
 「過去問」の量は少ないが、出題形式の傾向等は見えてきたので、それを「模試」や「予想問題集」に反映させているようだ。
 初年度の共通テストでは、思考力・判断力・表現力などを絡めた問題が少なく、また、「発展的な内容」も出題範囲から除かれ、予想以上の平均点となった。予備校や進路の関係者は、2022年度は難しくなると見ている。
 過去の「プレテスト」や「センター試験」の問題にも目を通すのが有効かもしれない。

「2次試験」の頻出分野が見えてくる
 一般選抜(2次試験)対策として約5年分の「過去問」に目を通す受験生は多く、頻出分野がわかるという。その結果が正答率30%以下なら、志望校の見直しも必要になるだろう。
 また、共通テストの英語民間試験の活用、記述式の導入を断念した。これを受けて、一般選抜(2次試験)等での導入を促進し、認められれば補助金が上乗せされる。対象は、「英語4技能の評価と入学後の英語力養成」、「記述式問題の出題」、「文系学部で数学の必須化」など。
 国公立大学は2022年度から実施されるが、果たして出題に変化が見られるだろうか?

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