第18回 大学・大学入試情報コラム
2022年度「共通テスト」は1月15日、16日の2日間。
ただ今「カタカナ学部」が増加中、「データサイエンス学部」が人気!!
「合格最低点」はどれくらいか? 「1点差に泣く人」も多い。その実態は?
2021年7月
大学&教育ウォッチャー 本間 猛
22年度「共通テスト」1月15日、16日
高3の受験生は勿論、クラス担当の教員におかれては、超多忙で、相談事の多い悩ましい時期がやって来た。受験生の進路決定のタイミングになるからだ。
文科省は、「2022年度大学入学者選抜実施要項」(6/4:国公私立大全般)と「共通テスト実施要項」(6/11)を公表した。昨年はコロナ禍によって、特例入試を実施したが、今年は下記の日程のように、通例に戻した。
共通テスト出願:9月27日~10月7日
共通テスト: 1月15日(土)、16日(日)
追試験: 1月29日(土)、30日(日)
期末の3者面談では、進学にあたって「共通テスト」を受験するのか、「総合型」「学校推薦型」「一般選抜」の内、どれを選択するのかを決める必要がある。
大学の「カタカナ学部」が今も増加中
相談を受けるとなれば、それなりに受験トレンドは知っていたい。最近気になるのが、「カタカナ学部・学科」の多さである。実は30年程前から、コミュニケーション、メディア、グローバル等があり、キャリア、リベラルアーツなどが続いた。
職業絡みのマネジメント、リハビリテーション、さらに2021年には武蔵野大アントレプレナーシップ(起業家精神)学部、22年には青山学院大法学部ヒューマンライツ(人権)学科が設置される。社会の変化とともに、これからも新しいカタカナ学部が生まれそうだ。
高い人気の「データサイエンス学部」
今注目されているのが、データサイエンス学部だ。膨大なデータを解析し、幅広い分野に革新をもたらす「データサイエンス(DS)」が大学教育に広がっている。
日本はコロナ禍対応で、ITの弱さを露呈した。少子化に伴う学生争奪が厳しさを増すなか、政府が成長戦略として専門的なIT人材の育成を打ち出したことを契機に、大学側も受験生確保の「看板」に位置付けようとしている。
政府の「AI戦略」では、毎年約50万人に上る全ての大学・高専生に、初級レベルのスキル習得を目標に掲げている。
「合格最低点」はどれくらいなのか?
「入試ではどれくらい得点すれば、合格するのだろうか?」と尋ねられることがある。それを知るには、各大学から公表される「合格最低点」をチェックする。とくに、合格最低点、満点、得点率を確認する。
他の大学でも同様だが、だいたい「6~7割台を取れば、何とか合格ラインに届く」ケースが多い。これは国公立大でも、私立大でも同様だ。難関大や医学部などは8割の場合もある。
一般的に競争率の高い大学ほど、合格最低点はアップする。また、合格最低点の得点率が高い場合は、問題が易しいか、受験生のレベルが高いかだろう。
■21年東京大:合格者総合(共テ+個別)前期
学科類 合格最低点 満点 得点率
文科一類 334.78点 550点 60.9%
文科二類 337.92点 550点 61.4%
文科三類 336.62点 550点 61.2%
理科一類 333.27点 550点 60.6%
理科二類 314.23点 550点 57.1%
理科三類 375.71点 550点 68.3%
「過去問」は合格最低点以上が目標
入試での得点目標は、平均点~最高点の間に設定したいもの。合格最低点をクリアしただけでは、確実に合格するとは言い難い。
夏休み以降になると、志望大学の過去問にチャレンジする必要がある。過去3年分を解いてみて、合格最低点以上に達していれば、十分に合格の可能性がある。問題を解く折に注意したいのは、本番のつもりで制限時間を守り、真剣に取り組むことである。
「1点」を疎かにしないことを伝えたい
募集人員の多い大規模な大学では、ボーダーライン付近に合格者の半数近くが集中し、激戦になっている。
2021年入試の関西大・商学部(学部個別&全学部日程合計)では、受験者6830人に対し、合格者は1306人で倍率は5.2倍。合格最低点は、450点満点で284点、ボーダーに同点者が28人おり、そして1点足りない283点には、なんと34人もいた。
1点差で受験生34人が不合格になったのだから、悔しい限りだ。ともかく、「1点の重み」を知り、日ごろからベストを尽す習慣を身につけさせたい。