第16回 大学・大学入試情報コラム
2022年入試は、ワクチン接種の効果しだい。
幸いにも、収束に向かえば、従来の進学動向が戻るかも？
また、各大学の「案内・ガイド」で情報を入手、「変更点」をチェック、確認したい!!
2021年6月
大学＆教育ウォッチャー 本間 猛
合格者情報を共有し後輩に伝えたい
入試ウォッチャーとしては、週刊誌の大学や高校の合否ランキング等に目を通す機会が多い。「後輩が頑張っているな」「今年は難関大の合格者が減ったねえ」などとチェック――。
2021年度は、コロナ禍によるイレギュラー入試、共通テスト導入元年などと、何かと話題が多かった。校内において合否追跡をすると、頑張った生徒たちの合格への足取りが見えて来るはず。それらの情報を先生方が共有し、新高3生に伝えて行くことが大事になる。
「共通テスト」英語民間試験活用、断念
進路に携わっていない先生方も、2022年度入試の動向・流れを、教科指導にプラスして熟知、1チームとして前向きに取り組み、生徒の夢の実現につなげることを願いたい。
まず、大きな動向は3つ。
1）「地元志向」は続くか？⇒ワクチン接種の効果しだい。収束・経済復活の方向に向かえば、都市圏志向が強まるだろう。
2）「共通テスト」の難易は？⇒初年度は予想以上に易しかった。2022年度は、「学力の3要素」回帰で少し難しくなりそう。
3）「記述式」「英語民間試験活用」はあるか？⇒7月公表の予定だが、実施しない方向。文科省の有識者会議が、英語の「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能評価を目的とした、共通テストでの民間試験活用を断念した。代わりに、各大学の個別入試での利用を支援する。
「大学案内・ガイド」での注目ポイント
また、この時期、各大学は2022年度入試に向けて、「大学案内・ガイド」を作成中だ。さらに、7月一杯までに「入試の実施要項」が公表される。これらで、2022年度入試の変更点が明らかとなり、動向を反映した指導も必要になる。
注目されるデータ等は、以下のようなもの。
＜ポイント1＞大学による変動要因
①新増設・改組・入試科目の変更など
②定員の変更（大規模私大の定員厳格化等）
③配点や入試の日程・会場の変更
④大学のオンライン授業の状況・環境
＜ポイント2＞入試動向による変動要因
①応募状況・前年の実質倍率（隔年現象）
②前年の合格最低点
③志望の特徴（卒業後の就職状況など）
④現浪・男女・他府県からの流入・流出比率
生徒が「大学案内・ガイド」を取り寄せた時は、上記の項目等をチェックしたい。
奈良女子大が女子大初の工学部設置
ここで、現在までに公表されている主な変更点情報を紹介してみよう。生徒とのコミュニケーションに役立つ情報だ。
【大学新設】[公立]川崎市立看護大、大阪公立大、[私立]大阪信愛学院大、令和健康科学大
【学部新設・改組】[国立]奈良女子大:工学部（同学科45人）
■2022年度開設予定学部等認可申請一覧
日本医療大：医療福祉学部（医療福祉マネジメント学科40人、医療福祉ソーシャルワーク学科80人）、國學院大：観光学部（観光街づくり学科300人）、東海大：児童教育学部（同学科150人）、金城学院大:看護学部（同学科100人）、名古屋女子大:医療科学部（理学療法学科50人・作業療法学科30人）、兵庫医科大：薬学部(医療薬学科150人)、看護学部（看護学科100人）、リハビリテーション学部（理学療法学科40人・作業療法学科40人）＜文科省 2021.04.07＞
この他、以下の大学等でも学部新設予定。
順天堂大：医療科学部（臨床検査学科110人、臨床工学科70人）、武蔵大：国際教養学部（同学科100人）、神奈川大：建築学部（同学科200人）、名城大：情報工学部（同学科180人）、追手門学院大：文学部（人文学科180人）、国際学部（同学科150人）、近畿大：情報学部（同学科330人）、岡山理科大：生命科学部（同学科165人）、情報理工学部（同学科210人）など。
超ビッグ「大阪公立大」が統合・誕生
2022年に最も注目されているのが、「大阪公立大」の誕生だ。大阪市立大（8学部）と大阪府立大（4学域）とを統合するもので、大阪市2か所、堺市、泉佐野市、羽曳野市にキャンパスを構える。現状の文・法・経済・商・理・工・農・獣医・医・看護・生活科学の11学部と現代システム科学域（看護学部と心理学類を新設）を設置し、超ビッグ大学となる。
このほか国公立大では、女子大初の奈良女子大：工学部45人の新設が話題になっている。
ざっと眺めたところでは、2021年に「共通テスト」だけで合否を判定した全大学が、2次個別試験を実施するとした。また、東京外国語大は、受験料の値上げを公表している。
今後、各大学の案内・ガイドが出揃ったところで、「変更点」について言及したい。
