第14回 大学・大学入試情報コラム

コロナ「変異株」の拡大によって、また緊急事態宣言発令へ
2021年度に「対面授業」の比率を7~8割に高めたのに、昨年に逆戻り!! 
もはや、大学のニュースタンダードが始まると思って、切り替えて行くしかない!!

2021年5月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

イメージ通りの大学生活が送れない
 新型コロナウィルスの「変異株」までが、世界や日本を襲い、4月25日から3度目の「緊急事態宣言」が4都府県に発令された。この春、コロナ禍や新しく導入された「共通テスト」等を乗り越えて、憧れの大学に入学した学生も、真面な大学生活が送れなくなった――。
 救世主と思える「ワクチン接種」も、いつのことか判明しない状況の中、高校は現在の大学教育や学生生活の実態のあらましを生徒に知らせ、「withコロナ」の心構えや対処法などを示唆できればベターではなかろうか。

どこまで耐えられるか対面授業7割
 まず、大学の現状から見てみよう。4月の新学期を契機に、文科省の要請もあって「対面授業」をスタートさせ、上智大が対面8割、早稲田大・明治大等が対面7割などとしていた。
 しかし、拡大しつつある「変異株」が若年層の感染に拍車をかけるとあって、「オンライン授業」に切り替える大学が増え始めている。東京都や大阪府・京都府では知事が、各大学に原則オンライン授業とするよう要請した。
 例えば、立命館大は本年度から対策を講じた上で、9割以上の授業で対面形式を取り入れていた。しかし4月19日から当面の間、「原則オンライン」に変更することを決めた。授業開始からわずか2週間で、対面とオンラインの割合が半々だった昨年に「逆戻り」する形だ。

部活動の再開で、クラスターが発生
 ともかく、「広い大学の構内を、友人とダベリながら闊歩する」「部活の先輩たちが、新入生を勧誘する」といったような、かつての大学生活のよき風景はもう見られない。
 コロナ下では、友だち作りも容易ではないことを自覚して、大学に入学することが必要だ。地方から出て来て、下宿での1人暮らしが続くことも覚悟しておこう。
 部活を再開したことによって、クラスターが発生したというニュースが連日のように報道されている。これでは、大学も規制をかけざるをえない。

「オンライン授業」には3つのタイプ
 ここで、大学の「オンライン授業」について触れてみよう。オンライン授業を大別すると、【1】「ライブ授業型」:同時双方向送信、【2】「録画配信型」:オンデマンド配信、【3】「資料配布型」:リポート提出――の3タイプがある。
 「ライブ授業型」は、教員と知的交流が可能、質問がしやすい、授業に緊張感があり、集中できる、生活リズムが崩れない等のメリットがある。「録画配信型」は、通信状況が悪くても利用できる、再生速度が変えられる、聞き逃しがもう一度聞ける、マイペースでできる等のメリットがある。「資料配布型」は、図書館が使えない、大学の存在意味がない等、デメリットが多い。

上級生の7割が「オンライン」支持
 大学2年生以上では、意外かもしれないが「オンライン授業」の支持者が7割もいるのだ。理由として、「ギリギリまで寝ていられる」「大学までの移動が不要」「板書が見えない、聞こえないがない」「自分のベストな環境で受けられる」「無駄なものがないので集中できる」「質問しやすい」「資料がスライド、PDF等で配布される」などを挙げている。
 不満は1割で、「一方的な音声のみの講義」「全受講生に会えない」「授業後に他の人と話せない」「友だちと休み時間にしゃべれない」といったものだ。

「レポート」提出が多いと学生は嘆く
 文科省では、「対面」と「オンライン」をミックスした「ハイブリッド」を推奨しているが、各大学によってスタンスは異なる。
 いずれにしても、大学生はレポートの提出が頻繁になったと嘆いている。「レポートの書き方も指導してくれないのに・・・」と、こぼす学生もいる。自宅で行う「オンライン授業」、その理解度、真剣度、課題解決などを、大学はレポートでチェックしようとしているのだ。
 新入生は、現状に耐える精神力を持ち、レポート作成法などを理解しておきたい。
 一方で、文科省はオンライン授業の比率が高まるのを気にしている。「対面」の中止はできない。大学の設置には、大学用地が自前のものであり、学生1人当たりの施設面積や施設の内容など、さまざまな物理的な規制がある。
 その基本には、「対面授業の展開」があり、これが崩れると長年続いた「設置基準」の見直しが必要になるという事情があるのだ。

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