第10回 大学・大学入試情報コラム

コロナ禍で、「2021年度入試戦線、異常あり!!」
国公立大学も都市部の大規模私立大学も軒並み志願者減だ!!
大学は「対面授業」+「オンライン授業」=「ハイブリッド」!! そのメリットは?

2021年3月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

国公立大2次試験出願者は過去最低
 2021年度入試は、国公立大学の個別選抜(2次試験)がスタートし、私立大学も峠を越した。また、初めて導入された「共通テスト」については、大学入試センターから終了後の受験者数・平均点等のデータも公表された。
 共通テスト(第1と第2日程等を合わせた)の全受験者は48万4114人。これをベースにした、国公立大学の2次試験出願者数は42万5415人(文科省2/24公表)、志願倍率は4.3倍でセンター試験導入以降、過去最低だった。
 また、私立大学の志願者数は、昨年10万人を超えた大学が8校もあったが、今年は近畿大学の1校のみ。早稲田大は50年振りに志願者数9万1659人で大きな話題となった。要因は受験者数の減で、毎年併願校数の多い浪人生が、昨年の共通テスト回避で約2万人も減り、受験生の母数が縮小したことにある。

大都市部のコロナ禍が怖いから地元
 コロナ禍で、「21年度入試戦線、異状あり」となった。文科省の呼びかけを無視して、2次試験を直前に中止したのは、宇都宮大学と信州大学の一部学部だった。受験生に「最後までベストを尽せ」と指導してきた教育関係者には、この梯子を外す約束違反は許せないはずだ。
 私立大学の志願者数減は、都市部の大規模大学で目立つ。コロナ禍による、生活不安、移動回避、地元志向、現役合格、安全志向などから来る「生命の危機」が鮮明になった。
 また、「都市部はコロナ禍の危険が大きい」の概念が定着し、コロナ回避や経済的理由などから、都市部の大学が敬遠されたようだ。東京の大学関係者からは、「今後、受験生は戻って来るだろうか」の声すら上がっている。

都市部の大学に行く必要があるのか
 受験生が地元の大学を志望する、あるいは地元で我慢しようと考える一つの理由は、大学の「オンライン授業」にあるのではないか。わざわざ都市部に行く必要があるのか――と。
 地元の高校でオンライン授業の一端を経験した受験生は、その延長線上で考えて否定的な感触を持っているのか。また、現実の大学生活を知らないために、夢と現実のギャップに不安を抱いているのではないだろうか。
 大学が不安を取り除く努力も必要だろうし、高校が現実を教えてあげることがあっても良いだろう。これが、一般的にレベルが高いとされる都市部に、日本のレベルを維持するために再び受験生を呼ぶチャンスになるはずだ。

大学は対面を重視し、ハイブリッドに
 新大学1年生の多くは、「対面授業」を想定し、望んでいる。大学で、人間関係を広げることを楽しみにしているのだろう。授業や部活などを通じて、友人を作りたいと願っている。21年入試でも、「原則対面授業」を打ち出した駒澤大学、関西大学などが人気になった。
 これに呼応するかのように、慶應義塾大学はキャンパスに集い、さまざまな学びを体験できるように準備する、早稲田大学や青山学院大学は70%の対面授業を目指す、と学長メッセージを発している。(2/23)
 また、多くの大学でオンライン授業についてアンケートを取っているが、結果を見ると60%~70%の学生がオンラインを支持。その影響で、 大学は「対面授業」と「オンライン授業」のハイブリッドを想定している。

現大学生はオンライン授業支持60%
 オンライン授業を大別すると、1)同時双方向の「ライブ授業型」、2)オンデマンド配信の「録画配信型」、3)リポート提出の「資料配布型」の3つがある。それぞれ、どんなメリットやデメリットがあるのだろうか?
 1)「ライブ授業型」のメリット:質問がしやすい、教員と知的交流が可能、いい意味で緊張感があり、集中できる、生活リズムが崩れない
 2)「録画配信型」のメリット:通信状況が悪くても利用できる、再生速度が変えられる、聞き逃しがもう一度聞ける、マイペースでできる
 3)「資料配布型」のデメリット:評判が悪い、図書館が使えない、大学の存在意味がない
 コロナ禍の対応として、大学生はオンライン授業を体験した。「学校までの移動が不要」「自分の好きな環境で勉強できる」「板書が見えない、聞こえないがない」「質問しやすい」「授業資料が配付される」などの利点がある。この状況では、受験生もメリットを生かしつつ、オンラインを前向きに捉えることが重要だろう。

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