大学・大学入試情報
2026年度学校基本調査(速報)や定員割れ私大校数が公表された。定員割れは前年度比でやや改善。また、政府・文科省の「骨太2026」の「戦略17分野」が大学に大きく影響!!

学部の女子学生は44年間過去最多
文科省は8月26日、5月1日時点の「2026年度学校基本調査(速報)」を公表した。それによれば、大学の在学者数が前年度比2万8130人増の300万542人となり、初めて300万人を超えた。
大学在学者のうち、学部生は前年度比1万8357人増の266万4194人、大学院生は前年度比7670人増の28万4802人で、いずれも過去最多だった。さらに、学部の女子学生は前年度比1万6757人増の123万7086人となり、44年間連続で過去最多を更新した。
また、8月7日には、日本私立学校振興・共済事業団が全国の4年制私立大学595校(前年度比1校増)の状況を分析し、2026年度入学で「定員割れ」したのは、46.2%に当たる275校だった、と公表。入学者の増加で、前年度より41校減り、7ポイント改善した。
18歳人口が前年度比で2303人(0.2%)増加したことも背景にあるが、27年度からは減少に転じる見込みだ。私立大学の厳しい経営状況は、少子化の進行に伴い今後も続く。
日本の改革・再生・活性化は待ったなし
全大学の「2027年度募集要項」は、9月に出揃う。したがって、いわゆる「入試情報」は、次回からにしたい。今回は、国の方針と大学の動向等についてまとめてみた。
昨今は「AI時代」に突入しているが、メインとなる日本の“半導体事業”は、緒に就いたばかり。米国・中国・韓国等から見れば、周回遅れも甚だしい。2027年度に漸く、熊本県立大学に「半導体学部」が設置予定だ。
日本人の伝統重視は理解できるが、スクラップ&ビルドは余り得意ではなさそうだ。経営には「新陳代謝」が不可欠なのだが、“オワコン”(終わったコンテンツ)に引き摺られる傾向が強い。日本の再生は待てないのだ!!
廃業も起業もできないのでは、社会も企業も活性化しない。「明治維新」のような大胆な改革が、今は「令和維新」として必要だ。
日本が挑戦する「戦略17分野」とは?
政府は7月21日、「骨太方針2026」を閣議決定し、予算編成に動き出した。この方針がこれからの教育にも影響を与えることになるので、ポイントを紹介しておこう。
政府は「責任ある積極財政」元年として、日本の挑戦を起動するとしている。人材の育成となれば大学が担うことにから、教育に携わる人々は知っておく必要があるだろう。
【日本が挑戦する「戦略17分野」】
①AI・半導体 ②デジタル・サイバーセキュリティー ③情報通信 ④量子 ⑤防衛産業 ⑥航空・宇宙 ⑦海洋 ⑧造船 ⑨重要鉱物・部素材 ⑩合成生物学・バイオ ⑪創薬・先端医療 ⑫資源・エネルギー安保・GX ⑬フュージョンエネルギー ⑭防災・国土強靭化 ⑮港湾ロジスティクス ⑯フードテック ⑰コンテンツ
上記は、殆どが理工系・文理融合系だ。この分野を踏まえたアドバイスが必要になる。
2040年に理系人材が124万人不足
ここ数年、理系学部は「女子枠」を設けて女性の理系進学を薦めているが、スムーズに増加していない。国家戦略で取り組み、推し進めても難しいようだ。
経産省は、2040年に大学卒・大学院卒の理系人材が約124万人不足すると試算している。「骨太の方針」でも、大学の理系人材育成強化と文系縮小を明記している。
昨今の「AI」の社会への進出ぶりは、凄まじい。チャットGPTでの悩み・人生相談、宿題・論文作成のサポートなどで活用する若者は多い。また、中国主催の人型ロボット競技をテレビ映像で観たが、二足走行の速いスピードには驚かされた。
ところで、私立大学は国立大学に比べて理系の学生比率が低い傾向にある。国立大学の学生約43万人の5割超が理系だが、私立大学は学生約200万人のうち理系は3割弱にとどまる。この比率を変えることが重要になる。
私立11大学が「成長分野転換基金」
文科省は流れを変えようと昨年、「成長分野転換基金」を設けて、首都圏と関西の大規模総合大学に呼びかけた。「基金を使う大学は、理系学部の入学定員を150人以上増やし、その分文系学部の入学定員を減らすことなどが条件。これをクリアできれば、1校当たり最大40億円を支援する」と提案した。これが功を奏して、11大学が手を挙げた。
早稲田大、慶應義塾大、上智大、学習院大、明治大、青山学院大、中央大、法政大、関西学院大、関西大、立命館大である。
例えば、早稲田大は、全学的に情報やAIが学べる教育組織の設置。さらに商学部の入学定員を50人減らし900人から850人にすると公表。また、立命館大は2028年度から生命科学部の入学定員を65人増員する。このほか、上智大や中央大も新しい学部の設置等を提案している。
理系修士課程学生に年280万円支援
文科省は、修士課程の学生への支援も提案している。政府の成長戦略で重点となっているAI・半導体など「戦略17分野」を研究する理系大学院の修士課程に在籍する学生に、1人当たり年額最大280万円の経済的支援を行う方針を固めた。
これは、修士課程学生への支援が手薄だったとして、新たに行うものだ。修士学生支援は、複数の大学院が共同で「戦略17分野」に関連した教育研究を展開する「ネットワーク」の枠組みを通じて行われる。
ともかく、政府及び文科省からは、強い日本経済の構築のために、本腰を入れて取り組もうとする意気込みが伝わってくる。
大学&教育ウォッチャー 本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。
