第74回 大学・大学入試情報コラム

女子大の志願者が減少し、改革を迫られる中で、文理融合系や理工系の学部設置を目指す大学が目立つ。「情報Ⅰ」では、配点に注意!! また、得意科目の配点比率にも着目したい。

2024年5月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

新設学部で社会のニーズが分かる
 文科省は2024年4月8日時点の「2025年度開設予定学部等認可申請一覧」を公表した。「新課程入試」元年の2025年度は、どのような改組・学部新設等があるのだろうか? 設置構想中も含め、注目の大学を挙げてみよう。認可の可否は、秋口に判明する。
【大学統合】国立)東京科学大学(2024年10月1日開学:東京工業大と東京医科歯科大の統合)、私立)桃山学院大学(桃山学院大と桃山学院教育大の統 合)
【大学新設】私立)博多大学(データサイエンス学部:160人)
【改組・学部新設】国立)岩手大(獣医学部:30人)、秋田大(情報データ科学部:100人)、公立)福井県立大(恐竜学部:30人)、下関市立大(看護学部:80人)、私立)北海道科学大(情報科学部:100人)、植草学園大(看護学部:80人)、大妻女子大(データサイエンス学部:90人)、日本女子大(食科学部:88人)、京都華頂大(日本文化学部:40人)、岡山学院大(デジタル生活学部:40人)、安田女子大(理工学部:180人)、松山大(情報学部:120人)、別府大(看護学部:80人)など。
 社会では、生成AIや医療関連の人材確保が優先され、データサイエンス系や看護系の学部新設が目立っている。

安田女子大が女子大初「理工学部」
 2025年度大学の変更点では、女子絡みのケースが多い。定員割れが続く短大の募集停止、志願者減や定員割れ等で危機感を持った女子大が、起死回生の改革に動き出したためと見られる。
 上記の「改組・学部新設申請」で気づく通り、文理融合系や理工系への女性の進出を促す傾向が著しい。「チャットGPT」等の登場で話題になった「生成AI」とは、大量のデータからパターンを学習し、それをベースに新しいコンテンツを創出する技術で、データサイエンス学部の主要なテーマになっている。
 女子大も「データサイエンス学部」の新設に動き、人気学部を目指している。また、ピークを越えたとは言え、看護師が不足する地域では、「看護学部」の設置が続いている。
 さらに、2025年度には安田女子大が女子大初の「理工学部」(生物科学科、情報科学科、建築学科:各60人)を開設するとして話題になっている。この女子大の工学部設置の流れは、2022年の奈良女子大、共立女子大に続く、お茶の水女子大共創工学部、日本女子大建築デザイン学部等の延長線上にあるものだ。

私立大へ「記述式問題」の拡大要求
 文科省は、2023年度国公私立大一般入試の問題について4月10日までの調査で、私立大のテスト全体のうちで、記述式問題を取り入れたのは39.8%だったことが判明した。一方、国立大は99.4%、公立大は98.8%であり、私立大があまりにも低率だった。
 調査は2023年7~9月に実施し、国公私立大782校から回答を得た。各校が一般入試で出題した問題を、選択問題などの「客観式」と、語句や数値、短文や小論文などを書く「記述式」に分類した。
 私立大の記述式を内容別(複数回答)で見ると、「短答式・穴埋め式」が最多の32.8%で、「短文の回答」が17.4%などだった。これを受けた文科省は、思考力や表現力の評価につながる記述式の導入拡大を求めるとした。私立大入試で、直ぐに記述式問題は増えないだろうが、重要な指摘・要求ではある。

「情報Ⅰ」は各大学の配点に注目!!
 受験生が志望校を書き込む必要に迫られる、模試(外部試験)の時期が間もなくやって来る。最終的には秋期までに決めることになるが、ここでは2025年度の着目点について紹介してみよう。
 先ずは、コロナ以降に増え続ける「年内入試」(総合型選抜、学校推薦型選抜)に挑戦するか、否かだ。この選抜は、高2から準備を始めないと間に合わないケースが多い。ともかく、やるなら急ぐことだ。
 すでに2025年度の入試要項を公表している国公立大の一般選抜では、「情報Ⅰ」の配点に着目する。新課程への移行でポイントになるのが、共通テストの「情報Ⅰ」だ。
 国立大の多くが必須だが、配点を本来の100点にせず、以下にする大学が目立つ。なかでも北海道大、香川大は必須だが0点という。また、公立大には、「情報Ⅰ」を課さない大学もある。この科目が得意か否かで、大学の配点を見て選ぶようにする。

得意科目に着目して志望校を選定
 次に自分の「得意科目」に着目して、志望校を選定する方法もある。一般的に、国公立大の合否は、総合(共通テスト+個別試験)で決まる。そこで、得意科目の配点比率が、総合満点の60%以上の大学を選べば、得意科目が威力を発揮し、入試が有利になるはず。
 例えば、英語の配点比率が60%以上の大学(前期・中期)は、山口大、都留文科大、高知工科大、北九州市立大など。同じように国語の配点比率が60%以上の大学は、東京学芸大、都留文科大、京都府立大など。因みに、数学は埼玉大、神戸大、山口大、公立千歳科学技術大などが60%以上だ。
 もちろん、自分の夢・希望・進路・職業等を優先させながら、各大学の2025年度入試の変更点、入試データ、過去問等をチェックして志望大学を選定していくことになる。

本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

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