第45回 大学・大学入試情報コラム
2023年度「共通テスト」は、少子化で初めて出願者50万人を切りそう・・・。
また、コロナ禍で「総合型」「学校推薦型」選抜が増加し、個別学力検査では小論文が多いのが特徴だ。
2022年11月
大学&教育ウォッチャー 本間 猛
「共通テスト」出願者は47万9348人
大学入試センターは10月6日、「2023年度大学入学共通テストの出願状況(受付最終日17時現在)」を公表した。出願総数は47万9348人(前年:50万1981人)で、前年度同時期の出願総数より2万2633人減となった。
内訳は、高校等卒業見込者が41万5713人(前年:43万3491人)、高校卒業者等が6万3635人(前年:6万8490人)。確定志願者数等は、12月上旬に発表される予定。因みに、共通テスト本試験が2023年1月14日・15日、追・再試験が1月28日・29日に実施。得点調整有無の発表は1月20日、平均点等の中間発表は1月18日、最終発表は2月6日を予定している。
2022年度の共通テストは、数学等の平均点が大幅にダウンし、2次出願時には受験生を大いに悩ませた。では、2023年度はどうなる?
私立大の「年内入試」増加の要因は?
コロナ禍の3年間で、「年内入試」(総合型選抜+学校推薦型選抜)が増加している。特に、私立大学では、この入試による入学者数が50%を超えているのだ。
ともかく、早めに大学合格を手にしたい受験生、また大学も早く、上位校は優秀な学生を確保したい、中・下位校は定員を満たしたい等との要望が重なり、近年は年内入試の増加が特徴となっている。特に2022年度は高校生のイベントもコロナ以前のように再開され、成績等が記載しやすくなり、出願が活発化した。
また、私立大学には「指定校推薦制」があるが、いわゆる進学高校は受験生の足並みを乱すとあって、あまり利用して来なかった。しかし、最近は生徒や保護者の要望があり、活用するようになったのも増加に影響を与えている。
国公立の特別選抜は「共通課す」が増
文科省は10月11日、「2023年度国公立大学入学者選抜の概要」を公表した。
私立大学と同様に、国公立大学の「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」でも増加の傾向にある。この2つの選抜では、「共通テスを課す」、or「免除」かが注目されている。「選抜の概要」によれば、国公立大学では対前年で「共通テストを課す」「免除」の両方が少々増加した。
[総合型] | 課す54大学153学部(前年53大学149学部)、免除91大学252学部、(前年89大学241学部) |
[学校推薦型] | 課す100大学268学部(前年99大学259学部)、免除140大学325学部(前年139大学325学部) |
「個別学力検査」では小論文が多い
また、「選抜の概要」では、国公立大学2次の「個別学力検査」等の内容も集計、公表している。最も多いのが小論文、次いで面接、実技検査、総合問題、リスニングの順だった。小論文の実施大学は国立大学79.3%、公立大学72.9%でダントツに多い。国公立大学受験者には、特別に対策指導が必要になるだろう。
1.[小論文] | 135大学265学部(前年132大学269学部) |
2.[面接] | 131大学272学部(前年129大学270学部) |
3.[実技検査] | 59大学67学部(前年60大学68学部) |
4.[総合問題] | 45大学64学部(前年44大学63学部) |
5.[リスニング] | 10大学22学部(前年11大学22学部) |
「過去問」は制限時間を守って解くこと
2次「個別学力検査」の対策では、「過去問演習」が有効であり、欠かせない。多くの受験生が志望大学の過去問に、何回となくチャレンジしていることだろう。その折に注意したいことは、本番の制限時間を厳守して、問題にアタックすることである。
時間をかければ、解ける問題は多い。それで解けても、実戦的ではない。本番のつもりで制限時間内に解かないと、本当の実力はチェックできないことを、受験生に徹底したい。
「入学者選抜における好事例集」は?
「学力の3要素」(思考力・判断力・表現力)をベースにした問題は、どのような試験か?
これに対応したのが、文科省「大学入学者選抜における好事例集」(2022年8月公表)だろう。
https://www.mext.go.jp/nyushi/#r3koujirei
これは、国公私立大学&短期大学を調査対象とし、申請件数84件から、18件を選定。また選定区分として、次のア~オの5つを設けた。
ア:総合的な英語力の評価・育成 |
イ:思考力・判断力・表現力の評価・育成 |
ウ:多様な背景を持った学生の受け入れの配慮 |
エ:高校との連携をはじめとする高大接続改革の推進 |
オ:文理融合の推進やその他の好事例 |
上記の区分を基に、詳細に説明を加えているから、英語科を中心に役立つだろう。是非、ホームページを見て欲しい。