第42回 大学・大学入試情報コラム

「2023年度大学入試科目・配点一覧」の
データを分析し、得意科目を活かせる大学を見つけて、
入試を有利に展開!! また、内閣官房の「教育未来創造会議」の提言とは?

2022年10月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

「入試科目・配点」を分析、活用したい
 受験生にとっての秋は、入試対策での追い込み期であり、ここでの頑張り、伸びが重要である。また、この時期は予備校等などから、「2023年度全国大学入試科目・配点一覧」が公表されている。最終的な「志望校⇒受験校」の絞り込みは、このデータを参考にしたい。
 国公私立大の入試科目・配点を見てみると、大学ごとに特徴があり、科目によって配点に多い・少ないがある。一方、受験生にも得意・不得意科目が存在する。とすれば、「得意科目の配点が多い大学を受験すれば有利になる」ことは明白だ。大学ごとの「入試科目・配点」データを分析しながら、特徴を見つけて行きたい。

「英語」「国語」の高配点大学はどこ?

【「英語」得意向き⇒配点比率60%以上の大学例】*国立大:山口大(理学部・前期) *公立大:群馬県立女子大(国際コミュニケーション学部・後期)、都留文科大(文学部・前中期)、北九州市立大  (外国語学部・前期)など。*私立大:文系の文・外国語・国際学部等で多く見られる。獨協大(外国語学部)、青山学院大(文・経済学部)、慶應義塾大(看護医療学部)、成城大(社会イノべーション・文芸学部)、法政大(文系の学部)、中京大(国際学部)、京都女子大(文学部)、龍谷大(国際学部)、近畿大(国際学部)、甲南大(文系学部)など。
【「国語」得意向き⇒配点比率60%以上の大学例】*国立大:東京学芸大(教育学部) *公立大:群馬県立女子大(国際コミュニケーション学部)、都留文科大(文学部)*私立大:文教大(文系の学部)、東京女子大(現代教養学部)、明治大(国際日本学部)、早稲田大(文化構想、文学部)、関西大(文系の学部)、福岡大(人文学部)など。一般的に、私立大では「傾斜配点」のケースが多く見られる。

「共通テスト」で決まる国公立大は?
 国公立大の一般入試では、共通テスト(1次)と個別試験(2次)の配点比率の多少が合否に大きな影響を与える。一般的には難関大ほど、2次試験のウエイトが高くなる傾向だ。ここでは、「共通テストの出来いかんで、合否が決まる」と言われそうな、1次の配点比率70%以上の国公立大(前期日程)を挙げてみよう。

*国立大:山形大、茨城大、埼玉大、富山大、信州大、岐阜大、静岡大、三重大、鳥取大、島根大、山口大、愛媛大、宮崎大、琉球大など。*公立大:東京都立大、名古屋市立大、兵庫県立大、北九州市立大など。勿論、学部によって異なるから、実際にはデータでのチェックを忘れないようにしたい。
*私立大:「共通テスト利用入試」になるが、2023年度の早稲田大や青山学院大などでは、科目数を増やす傾向にある。

未来をけん引する大学と社会の在り方
 コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻等で、世界が混沌とし、日本も成長が止まって久しく、物価高もあり厳しい状況だ。教育も改革中だが、明確な将来の姿が見えにくくなっている。
 9月2日に、内閣官房が「教育未来創造会議:我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」&工程表を公表。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/teigen.html
 今後の日本社会・教育・大学の方向性を知るためにも、教育関係者は目を通して欲しい。膨大な資料であるため、ここではいくつかのポイントをピックアップして、以下に紹介する。

大学・学部の再編・統合が本格化する
【未来を支える人材を育む大学等の機能強化へ】
 少子化により18歳人口が112万人(2022年)から102万人(2032年)へと、10年間で9%減少することが見込まれる中で、今後5~10年程度期間に、現在35%にとどまっている理系分野を専攻する学生の割合を5割程度まで引き上げ、社会の変化に伴う課題解決のため、大学等の機能強化を図る。

1)進学者のニーズも踏まえた成長分野への大学等の再編促進と産学官連携を強化する⇒大学の再編・統合・拡充を本格的に促進
2)各大学等におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)や、デジタル・グリーン等の成長分野へ転換を図る⇒先端ITの促進強化
3)成長分野等の地域のニーズを的確に捉えつつ、地方創生に資する魅力ある地方大学の実現のために、地方国立大学において特例的な定員増の取組を進める⇒地方大学の魅力拡大
4)私学助成について、学部等に応じた配分の見直しや、定員未充足大学に対する私学助成の減額率を引き上げる⇒学部等の設置規制
5)大学の経営困難から学生を保護する視点で、計画的な規模の縮小や撤退等も含めた経営指導を徹底する⇒大学閉鎖と対応

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です