第36回 大学・大学入試情報コラム
新高1生は2025年度に「新学習指導要領」にそった
「共通テスト」を受け、高2生は2024年度に現行「共通テスト」に挑む。
高2生が浪人すると、移行措置を受けての受験となり、プレッシャーがかかる。
2022年3月
大学&教育ウォッチャー 本間 猛
高1生の2025年度選抜が変わる
高校では、2022年度4月入学の新高1生から「新学習指導要領」による新課程が導入され、高2生が学ぶ現行課程の内容などとは大きく異なる。当然のことながら、新課程を履修した高1生が受ける2025年度大学入試は、内容が現行とは大幅に変わる。
国公私立大学の「選抜システム」(「共通テスト」⇒一般選抜、学校推薦型・総合型選抜)は変わらないが、教科・科目名称、数、内容等が変わることによって、試験の内容が大きく変更されると予想される。
新しい学びに沿った「共通テスト」に!!
少子高齢化、グローバル化、IT化などが進み、世の中は速いスピードで変化している。それらに対応するためにも、新しい学びや行動等が必要になった。
そのため文科省は、知識や技能をベースにした、「思考・判断・表現力」の養成等を目標に掲げた。すでに小学から大学まで、問題を自分で見つけて解決する力を育てる「主体的・対話的な深い学び」、いわゆる「アクティブ・ラーニング」のスタイルが全教科で導入されている。
2021年度に新たに導入された「共通テスト」は、新しい学びの到達度をチェックするものであり、内容等が変わってきている。3年後の新課程入試に対応するにも、大筋の変更点を確認しておきたい。
共通テストは「情報Ⅰ」加えて7教科
高1生は「新学習指導要領」に対応した試験を受ける。変更点の1つは、急速に発展する情報社会に対応するため、新課程「共通テスト」では、新しく「情報Ⅰ」を加え、7教科21科目の出題となり、高1生にとっては負担増になる。
試験時間は、新規の『情報Ⅰ』が60分で、国語が80→90分、数学②60→70分と各10分長くなった。国語は「現在の内容を維持した上で多様な文章を提示する観点から」と説明している。他は現行とほぼ同じ。試験形態も現行同様で、問題冊子及びマークシート式。『英語』は現行と同じように、ICプレーヤーを使用する。
また、地理歴史・公共の科目選択では、組合せを選択できない場合もあるから注意したい。
【国語】 | 『国語』 |
【地理歴史】 | 『地理総合、地理探究』、『歴史総合、日本史探究』、『歴史総合、世界史探究』、『地理総合、歴史総合、公共』 |
【公民】 | 『公共、倫理』、『公共、政治、経済』、『地理総合、歴史総合、公共』 |
【数学】 | ①:『数学Ⅰ、数学A』、『数学Ⅰ』、②:『数学Ⅱ、数学 B、数学C』 |
【理科】 | 『物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎』、『物理』、『化学』、『生物』、『地学』 |
【外国語】 | 『英語』、『ドイツ語』、『フランス語』、『中国語』、『韓国語』 |
【情報】 | 『情報Ⅰ』 |
2025年共通テスト問題作成方針
入試センターは2025年度「共通テスト」問題作成方針を公表。国語、英語はどうか?
【国語】多様な文章を提示し、より思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視した出題を工夫。問題量を増やす方向で問題作成や構成等を検討。
【英語】引き続き「読むこと」「聞くこと」(ICプレーヤー使用)を中心としつつ、高校までに培った総合的な英語力を可能な限り評価できるよう問題作成の方向性を検討。
問題作成の意図から、対策を探るようにしたい。大きな傾向として、「国語や英語ばかりではなく、全教科にわたって問題文量が多かったり、語彙・単語数が増えたりしている。
入試変更時は新しい情報が最重要
2025年度「共通テスト」では、現役生と浪人生で学習内容が異なるため、1年限りの救済対応として浪人生向けの問題も出す「移行措置」がある。
また、この移行措置によって、現行の3グループに経過措置科目が加わり、【地理】【公民】【数学①】【数学②】【理科】【情報】の6グループで得点調整を行う。
現行課程で受験する高2生は、20年度「共通テスト」初導入時のように志望校を1ランク下げてでも、2024年度入試で現役合格を目指すだろう。
入試センターは22年度中に情報や地歴、公民などの試作問題等を公表する。このように入試の変更時は、新しい情報を早く入手して受験生に提供することが重要になる。以下、主要事項の公表予定。
*2022年度中:「共通テスト」利用教科・科目の予告【各大学】 *2023年6月頃:2025年度「共通テスト」実施大綱の公表【文科省】 *2024年6月頃:2025年度「共通テスト」実施要項の公表【センター】など。