第12回 大学・大学入試情報コラム
新型コロナに加え,変異種も登場。影響は拡大の一途。
2021年度入試が終わったら,新「学習指導要領」対応の教科情報!!
先送りした検討事項「記述式」「英語4技能」の文科省方針の公表は8月か!!?
2021年4月
大学&教育ウォッチャー 本間 猛
新学習指導要領対応の入試は25年
コロナ禍の影響,初めての「共通テスト」の導入もあり,前例のない2021年度入試となった。厳しかった入試の終了とともに,各大学からは,2年越しで実施された卒業式の様子が報じられた。
また,大学入試センターからは3月24日,2025年度から実施される新学習指導要領に対応した「共通テスト」の出題教科・科目などが公表された。現行の6教科30科目から,新教科の情報を加えた7教科21科目にスリム化する方針も明らかになった。
一方,現在,文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」において,共通テストと個別試験の関係,記述式問題の導入,英語4技能の評価等が検討されており,今年の8月には方針が決定されると見られている。
2021年共通テストで過去問は2回分
2022年度からは,学年進行で新学習指導要領に基づいた各教科の授業がスタート。先生方におかれては,教材研究や受験指導など,超多忙となることが予想されている。
新たに出題される7教科21科目については文科省の方針公表と併せて,詳しく紹介していきたい。ここでは,2021年度に新しく導入された「共通テスト」に,どのような特徴があったか,またそれを踏まえた2022年度入試の傾向と対策等について,触れてみたい。
共通テストはコロナ禍の対応として,第1日程と第2日程を実施した。これは次年度の入試にとって,大変ラッキーなこと。つまり,1年で2回分の過去問が入手できたのだ。それらを分析すれば,傾向が見えてくることになる。
「英語」は情報処理する力も問われた
先ず,2021年度「共通テスト」をチェック。共通テストの問題は,分量が多いだけでなく,さまざまな資料を読み込んだ上で,考えて解くような問題が多く出された。
【英語】リーディングでは,単に英文を読んで理解するだけでなく,多種類の情報を処理する力が問われた。第1日程の第4問では,2人の生徒のメールから必要な情報を読み取り,スケジュールを考える設定だった。
日常のコミュニケーションに登場する英文を理解できるようになり,語彙力も文法力も使いこなすことが大事になる。
リスニングでは身近で現代的な話題が増えた。後半の音声は1回のみ,要注意。音声を聞きながら,情報を整理して判断する練習が必要になる。また,英語の音声に耳を慣らすため,毎日10分ぐらい,英文を聞くようにする。
「国語」はセンター試験の形式に近い
【国語】センター試験の形式に近かったのが国語。試行調査であったような紛らわしい選択肢や図表,詩や書評などがなかった。新たに,複数の資料を読み解く問題が出された。
新しいタイプの問題のように見えた,生徒のノートなど思考の過程が示される形式は,見かけが違うだけで,実際はよくある入試問題。それだけに,過去問で練習した受験生は,有利だった。また,問題文が示すプロセスに沿って考えればよく,大きなヒントになった。
読む分量が増えたため,英語などと同様に,速く正確に読む練習がこれまで以上に必要になる。
「数学」も文章量が多く「読解力」が必要
【数学】日常生活に関わる身近な題材や,会話文や説明文で思考過程を導くタイプの問題が出た。数学の試験でありながら問題文の量は多く,「読解力」が求められた。
共通テストについて,大学入試センターが重視したのは,「知識の理解の質を問う問題」「思考力,判断力,表現力が求められる問題」「学習の過程を意識した場面設定」など。数学もその方針に沿って,センター試験と特徴が異なる問題が出た。
受験生が教科書レベルの内容を身につけ,公式を導き出すプロセスを理解しているか問うた。また,会話文が登場したり,文章量が多かったりする問題文に慣れておく必要はある。
大学入試センターが3月24日に公表した,2025年から刷新される共通テストのサンプル問題(歴史総合,地理総合,公共,情報)は,複数の資料を読み解いたり,学習した知識に基づいて考えさせたりする問題が目立った。したがって,「学力の3要素」(思考力・判断力・表現力)を重視する姿勢は,今後も続く。