第7回 大学・大学入試情報コラム
新年を迎えて、いよいよ入試本番だ!!
「入試改革元年」の負担増に、コロナ禍が追い打ち!!
2021年受験生にアルバイトなし、「給付型奨学金」獲得を目指すべし!!
2021年1月
大学&教育ウォッチャー 本間 猛
2021年受験生の前途はコロナで多難
新年を迎えても、コロナ禍に収束の兆しが見えない。コロナ変異種の拡散、日本に迫る医療崩壊など、厳しい状況は変わりそうにない。
2021年1月16日・17日から始まる「共通テスト」を皮切りに、国公私立大学一般選抜入試が本格化するが、「入試改革元年」にコロナ禍が加わり、受験生の前途は多難であり、予想するのも容易ではない。
改革の目玉は、「共通テスト」の新規登場だ。新テストにどのような問題が出され、出題形式がどうなったかなどについて、ご担当の教科を即座にチェックされるのは理解できる。因みに、実施された共通テストの問題や解答は例年、当日の夜19時以降に公表される。
入試の特徴は地元・資格、理高文低
未曾有のコロナ禍の中での2021年入試を、「受験生がどのように捉えていたか」などについては、模擬試験受験時に記入した志望大学を検討・分析することなどによって推測できる。これに社会状況などを加味すると、2021年入試の特徴が見えてくる。
★コロナ禍の影響&受験生の志向など
① コロナ不況、収入減、家計苦→経費削減
② 休校、休講、授業の遅れ→共通テスト2回
③ 入試改革元年、準備負担増→国公立大敬遠
④ 景気の落ち込み、就職に有利→理高文低
⑤ 外出・移動・受験旅行控え→感染回避
⑥ 感染者多数の都市敬遠、経費減→地元志向
⑦ 地元就職、公務員、看護師など→資格志向
⑧ 総合型・学校推薦型選抜人気→早期合格
上記③:国公立大の志望動向では、上位層は横ばいで堅調、中下位層で安全を狙い1ランク下げるような傾向が見える。
また、④・⑦:受験生といえども、卒業後の就職を見据えての志望校選択が顕著になっている。⑥:コロナ禍によって、地元志向が目立っている。しかし、現段階では、with コロナ、ポストコロナの生活や社会がどのようになるかを予測するのは難しい。卒業時の4年後の社会すらも、明白でないのだから、グローバル、AI、IT社会等を睨み、文理を超えて力を蓄えたい。
入試には多額のお金が必要になる!!
コロナ禍で重要なのは、①:社会不安や収入減の情報などだろう。では、この厳しい状況の中で、受験生1人が大学生になるために、どれぐらいお金がかかるのか、父兄とのコミュニケーションのためにもチェックしておこう。
【大学の受験料】(1校分)
*共通テスト:[検定料]3教科以上→1万8000円、2教科以下→1万2000円
*国公立大:2次試験[受験料]→1万7000円
*私立大:[受験料]→約3万5000円(大学や入試方式等で異なる)、<共通テスト利用入試>[受験料]約2万円(大学や学部等で異なる)
通常1人が4~5校併願するから、受験料が15万円ぐらいになる。このほか、遠方の大学を受験する場合は、交通費(約3万円等)、宿泊費(1泊:約1万円等)がかかったりする。
入学すれば初年度納付金(授業料+入学料)が国立大81万7800円、公立大は地域内外に分けられ、国立大より低額。私立大は授業料+入学料+施設費で、文系約117万円、理系約155万円が必要になる。(データ:文科省2019/12/25)
アルバイトより給付型奨学金を狙え!!
これらに、毎月の生活費がかかる。20年までの学生は、仕送りやアルバイト、奨学金の活用などで遣り繰りしてきた。ところが、このコロナ禍でアルバイトができなくなったケースが多く、毎日の生活に喘いでいるのが現状だ。
東京の私大生(自宅外通学者:地方出身の学生)の場合、受験から入学までの費用220万円、毎月の仕送り額8万5300円、1日当たりの生活費730円、奨学金希望者は6割(データ:東京私大教連2020/4/3)となっている。
上記データは2019年の調査であり、コロナ禍の現状では、生活がもっと厳しくなっているはずだ。受験生は、日本学生支援機構、各私立大学、地方公共団体、著名企業などが実施している返済を必要としない独自の「給付型奨学金制度」について調べ、チャレンジして欲しい。
また、各大学には「スカラシップ制度」もある。大学のランクをダウンさせてでも、特待生になる方法を考えよう。この際、上位の成績が取れる大学に入学し、「鶏口となるも牛後となるなかれ」を実践する手もありそうだ。