第4回 大学・大学入試情報コラム

「入試」も「入学後」も、逆風は続く!!
2021年度受験生に同情はするが、前進あるのみだ!! 
どのような変化も克服できるパワー、柔軟な対応力が求められる!!  

2020年10月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

「第2日程」出願者は789人だった
 コロナ禍の影響で入試準備が例年より遅れていても、秋ともなれば、受験生にとっては志望大学を決める時期である。その折、注目されるのが、2021年入試の動向だ。
 まず、今後の入試の流れに影響を与える、「共通テスト」の出願データを確認しておく。大学入試センターの発表(10月15日)によれば、出願総数53万1907人のうち、第2日程(2021年1月30・31日)希望者は予想に反して僅か789人だった。
 国公立大の一般選抜(2次試験)の出願期間(1月25日~2月5日)中の第2日程では、時間がなさすぎるというのが理由のようだ。しかし、これは当初から分かっていたことであり、共通テストから前期試験(2月25日~)までの期間の差、2週間を重視したことになる。殆どの受験生が第1日程であれば、2次試験に向けての指導は前年と変わらない。

入試動向は「安全・安定」「理高文低」
 志望校を決めるには、受験生の目がどの方向に向いているかを知る必要がある。21年入試の特徴は、20年の浪人回避で加速した「安全志向」(1ランクダウンや地元の大学の志望など)に、コロナ禍への対応として「安定志向」(経済的な不安の解消や家計負担の軽減、アルバイトや奨学金への過度な依存回避など)が加わった。
その結果として、地方の国公立大や地元の私立大への志望者が増加し、都市部の大規模私立大などは、志願者が減ると予想されている。
 このような流れの中で、受験生はどのような学部・学科を選んでいるのか。全体としては、不況予測で「理高文低」(コロナ禍で将来に不安、就職に強い理系が人気)、「資格志向」(不況対策)の傾向である。文系は、経済・商・法・国際などが減。国際はコロナ禍で留学が難しい。
 理系は、医学部は横ばいから減。情報系(AI・データサイエンス)の人気が高い。また、ICT・電子工学・情報工学分野が増加。地方では医療系の人気が根強い。21年の入試動向としては、これらの流れは掴んでおきたい。

長年使われる「大学グループ分け」
 受験生はこのような動向の中で、受験する大学や併願校などを決めていくことになる。この時によく使われるのが、40年以上も前から知られている「大学のグループ分け」だ。
 私立大の場合は、レベルをそろえてグループ化した、大学名の「ゴロ合わせ」である。
【早慶上理】(そうけいじょうり)=早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大 【関関同立】(かんかんどうりつ)=関西大、関西学院大、同志社大、立命館大 【MARCH】(マーチ)=明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大
【日東駒専】(にっとうこません)=日本大、東洋大、駒澤大、専修大 【産近甲龍】(さんきんこうりゅう)=京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大 【大東亜帝国】(だいとうあていこく)=大東文化大、(東海大)、亜細亜大、帝京大、国士舘大 最近は【SMART】(スマート)=上智大、明治大、青山学院大、立教大、東京理科大――というのもある。ともかく、主要な私立大が25(27)校もリストアップされているのだから、併願校選びには役立つはず。

大学の「学び方改革」が開始される
 最終的に受験校数を決め、志望大学のコロナ対応、学部・学科の改組、入試科目・配点・募集定員の変更、前年の応募状況・実質倍率・合格最低点、入試日程・試験会場の変更、学業・生活費用、卒業後の就職状況などを分析・検討して受験大学を決めることになる。
 これだけ苦労して入学しても、大学で満足に学べるのか、という不安は尽きない。オンライン授業と対面授業とが、どれくらいのバランスで実施されるのか。それは新型コロナが終息するか否かにかかっている。
「with コロナ」でコロナ禍が長い間続くとなると、「働き方改革」ではおさまらず、「学び方改革」が始まることになる。すでに都会では、テレワークによる「自宅就業」を実施している大手の企業は多い。
 新型コロナを撲滅できるワクチンが開発されない限り、日本も世界も大きな変化を余儀なくさせられるだろう。コロナ禍に負けないで、克服する柔軟な対応力が求められる。