大学・大学入試情報
急速な社会変化に対応する「次期学習指導要領」の全体像、また、2027年度入試の変更点や特徴などが見えてきた。さらに、「英検デジタル証明書」発行で、英検CSEスコア判定が拡大?

中教審「次期学習指導要領」の全体像
中央教育審議会(文部科学省の諮問機関)の特別部会は9月25日、「次期学習指導要領改訂」の全体像となる審議の取りまとめ案を了承した。新たな指導要領は小学校が令和12年度、中学校が13年度に実施される。また、高校は9年度に改訂され、新教科書は14年度からの使用となる。
小学校では情報教育を強化、中学校英語ではAIを含むデジタル学習を活用する。例えば、英会話や発音などの反復練習に利用し、上達に役立てる。また、高校の国語は大幅に科目を再編する。現行の指導要領では、学習機会が減少したとされる小説など文学の魅力を含めて、国語力の底上げを目指す。
一方で、AI等の普及など、急速な社会変化に、10年に一度の改訂スピードで対応できるのか、といった声すら聞こえる。
【資料】次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(案)
https://www.mext.go.jp/content/20260925-mxt_kyoiku01-000052222-3.pdf
国公立大は後期縮小し推薦・総合型へ
9月に入り、2027年度国公私立大入試「募集要項」等が出揃った。ポイントをピックアップしてみる。
【新増設・改組】東北大:「ゲートウェイカレッジ」(全学部が参画する特別教育プログラム)、東京大:「UTokyo College of Design」(学士・修士の教育課程、9月開設)の新設。福島大:全学的な改組(5学類を4学部に)、信州大:サステナブル社会協創、福山市立大:情報工、北九州市立大:情報イノベーション、熊本県立大:半導体学部の新設など。日本初の半導体学部が注目されている。
【日程・募集人員・その他】教員養成と看護では、後期募集を停止し、学校推薦型・総合型選抜に移行させる傾向が続く。岩手大や三重大など。また、募集人員では、理・工・農・情報に加え、女子枠も増加している。
さらに「2段階選抜」「科目等の増減」「学外試験場」「学費の増額」等もチェックしたい。国公立大では、後期日程の縮小が目立つ。
私立大は情報系の新設・改組が多い
次に、私立大の変更点はどうか。
【新増設・改組】新設大学:太田医療科学大(群馬)・中央医療大(神奈川)。[募集停止]愛知工科大・愛知文教大・京都華頂大・甲子園大など。また、男女共学化の大学もある。[主な新設学部]千葉工業大:宇宙・半導体工、中央大:スポーツ情報、東洋大:環境イノベーション、愛知大:社会情報、龍谷大:環境サステナビリティ、大阪成蹊大:経済、広島修道大:農、長崎総合科学大:先端工など。
【募集人員・その他】因みに、上記の新設学部は募集人員が100人超の大学である。以下に、2027年度入試の特徴を列記してみた。
①情報系の学部・学科の新設・改組が多い。
②男女共学化による名称変更。武庫川女子大→武庫川大、広島女学院大→YIC学院大。
③薬学部の縮小が目立つ。城西国際大・薬が募集停止。定員減は昭和医科大・薬など。
④英語外部検定利用が拡大している。
⑤共通テスト利用方式の変更に注意する。
志望大学を決めたら、各大学の募集要項で必ず確認すること。
受験校として、公立大を候補にしたい
大学入試では、国立大学と私立大学の二択になるケースが多いが、2027年度は公立大学を志望校に加えることを提案したい。
公立大学は、都道府県や市区町村などの地方公共団体が設置した大学で、全国に102校もある。①学費が比較的安い、②自宅から通学できれば生活費が節約できる、③地元での就職が有利になるなど、多くのメリットがある。また、大学・学部にもよるが、中期日程を選択することも可能だ。
公立大は小規模が多いが、東京都立大や大阪公立大のように大規模大学もある。また、秋田県の国際教養大、福島県の会津大などは教育・研究面の評価が高い。最近は地元の活性化を目指す文理融合系学部も増えている。さらに、美術や看護の学部も目立つ。
年内入試は猶予の2年間後に変化?
文科省は「2027年度から年内入試に面接を必須」とした。しかし、中身をチェックしてみると以下の理由で、この2年間に大きな変化はなさそうだ。
①2年間の猶予期間がある。
②新規導入の場合は面接必須になる。
③指定校推薦や内部進学は面接不要。
東洋大は年内入試で2万人の受験者を集めて問題になったが、関西では関関同立(関西大・関西学院大・同志社大・立命館大)以外の大学は30年以上も前から年内基礎学力試験を実施してきた経緯があり、いきなり面接必須となってもスッキリしないはず。
高校の授業は2月下旬まであるのだから、「年内に基礎学力試験を行うのは、年明けのルールに違反」(年内でなく、年明けでも構わないのだから“青田刈り”が濃厚)というのは正論だ。2年間の猶予期間が過ぎてみないと、どうなっているか分からないようだ。
「英検デジタル証明書」を無償で発行
2026年度の大学入試(一般選抜、総合型、推薦型)で民間試験を利用した大学は494大学、国公私立大全体の65%にのぼる。その中で、英検は北海道から沖縄まで広く受検機会を提供し、「英検1強」の現状にある。
さらに、英検は、9月15日から「英検デジタル証明書」の無償発行を可能にした。これによって、2018年度以降の対象試験を受験した人は、合否にかかわらず、デジタル合格証明書またはデジタル英検CSEスコア証明書を無償で取得できることになった。
近年の大学入試では、級の合否にかかわらず、英検CSEスコアで判定する入試方式が広がっているための対応だ。証明書の取得手順は、英検のWebサイトで公開している。
また、2028年度から上智大は、英語検定試験「TEAP」(ティープ)スコア利用の一般選抜入試で、英検(1級・準1級)のCSEスコアを代替可能にする方針だ。
【参考】デジタル証明書の共有キーの取得方法|英検|公益財団法人 日本英語検定協会
https://www.eiken.or.jp/eiken/digital-certificate/submit/get-shared-key.html
大学&教育ウォッチャー 本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。
