大学・大学入試情報コラム
新課程でも国公立大一般選抜の動向に、大きな変化はなし!! また、平均点がアップしたことで、全体として強気の出願が目立った。その中で、東京大への志願者が大幅に減ったと話題になっているが、なぜか?

前期日程志願者23万5719人、2.9倍
新課程初めての国公立大2次試験前期日程が2月25日、各地の大学で始まった。文科省が2月19日に公表した「2025年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」によれば、175大学622学部が実施。そのうち前期の志願者は23万5719人で、募集人員8万383人に対する倍率は前年と同じ2.9倍だった。
また、「大学入学共通テスト」の結果で「2段階選抜」(足切り)を前期日程で実施したのは、東京大(対象:893人)、東京都立大(同772人)、東京科学大(同429人)など36大学61学部で、4459人が不合格となった。
東京大第1段階通過最低点は717点
東京大は2025年度から、第1段階選抜の実施基準となる通過ラインの志願倍率を厳しくした。そのためか、一般選抜の志願者数が8421人(前年比1011人減)で、2004年以降で最少になった。さらに、共通テスト平均点の上昇が、志願控えの要因になったようだ。
今年の東京大の場合、第1段階を通過するには共通テスト(1000点満点)で何点必要だったか。公表された通過者の最低点は文科一類717点、文科二類725点、文科三類774点、理科一類808点、理科二類814点、理科三類770点。因みに、最高点は理科一類990点、平均点は理科三類901.43点がトップ。
この第1段階通過者が2次・個別試験に挑戦するのだから、やはり「最難関」だろう。
前期日程は東京芸術大・美術がトップ
国公立大前期・後期・中期日程を合わせた2025年度の全志願者数は42万8501人で、前年度42万3260人より5241人増加した。倍率は4.4倍で、前年より0.1ポイント上昇した。
2025年度の日程別高倍率1位大学は、国立大前期日程:東京芸術大・美術12.9倍、同後期日程:宮崎大・教育30.3倍、公立大前期日程:山陽小野田市立山口東京理科大・薬24.8倍、同後期日程:福山市立大・教育36.9倍、同中期日程:長野県立大・健康発達29.0倍だった。
国立前期日程1位の東京芸術大・美術は、高倍率大学の常連。宮崎大教育の後期は「小論文型+面接」方式に人気。公立の山口東京理科大・薬は学費の安さなどが魅力。また、新設で話題の福井県立大恐竜学部は、募集人員が計18人(前期15人+後期3人)と少ないこともあり、前期7.3倍、後期27.3倍で高倍率となった。
国公立大の学部系統別志願者は堅調
ここで、「国公立大学入学者選抜学部系統別志願状況」を見てみよう。志願倍率を学部系統別にみると、①「薬・看護」5.0倍(前年:4.9倍)、②「その他」4.7倍(同:4.5倍)、③「医・歯」4.6倍(同4.8倍)、④「人文・社会」4.6倍(同4.4倍)、⑤「農・水産」4.2倍(同:4.1倍)、⑥「理工」4.2倍(同:4.1倍)、⑦「教員養成」3.6倍(同:3.5倍)。
国公立大の系統別倍率をみると、1位は堅調さが目立つ「薬・看護」、2位は文理融合系などが多い「その他」で、情報系の人気等もありアップ、3位の「医・歯」、4位「人文・社会」は、多少の増減があるものの前年同様に堅調。
5位「農・水産」は食関連の学部・学科(京都府立大農学食科学部和食文化科学科など)が注目されている。6位の「理工」は、徐々に女子の進出がみられている。7位の「教員」は地域密着型の学部であり、女子の関心も高い。
女子の理工系進出は進んでいるか?
2025年度「一般選抜」が始まったばかりだが、気になる入試情報をチェックしてみたい。しかし、私立大入試の結果は4月一杯で判明するから、途中経過の傾向になるが・・・。
国立の女子大理工系学部設置の先駆である奈良女子大工(前期2.4倍、後期10.6倍)とお茶の水女子大共創工(前期2.3倍、後期4.4倍)は、2025年度の志願者が共に対前年で若干減少した。また今年、地方の私立女子大で初めて、理工学部を新設した安田女子大に注目しているが、結果はまだ判明していない。
一方で、社会のデジタル化、AI化などの対応のため、女子の理系分野への進出を期待する文科省は、理工系学部の「女子枠」を容認し、学校推薦型選抜で実施するケースが多い。 前年は一部の大学を除き、情報が浸透しておらず、予定したほどの応募者は集まらなかった。
しかし、模試業者や予備校などの2025年度志望動向情報によれば、推薦型の「女子枠」を超えて一般選抜で理工系学部に出願する女子が増加しているという。
2040年進学者は46万人、大学は再編
中央教育審議会(文科相の諮問機関)は2月21日、急速な少子化を見据えた大学など高等教育の将来像をまとめ、文科相に答申した。
2024年に約63万人だった大学進学者数は40年には推計約46万人と約17万人減る見通しで、現在の入学定員の規模が維持された場合、約3割が埋まらなくなる。学生を確保できない大学は経営が悪化し、教育の質を維持できなくなるとして、全体の規模適正化を進める一方、地域における教育機会の確保を図るとしている。
また、文科省は答申を踏まえ、今後、制度改革や財政支援の取り組みなど10年程度の工程を示した政策パッケージを策定する。当然のこととして、大学の再編・統合、縮小や撤退の議論は避けられず、全体の規模見直しが必要になる。文科省からは、膨大な答申資料が公表されている。それについては、次回以降にポイントをピックアップして紹介したい。
★中教審(2025/2/21)
我が国の「知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~(答申)(中教審第255号)
大学&教育ウォッチャー 本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

“” に対して1件のコメントがあります。