第95回 大学・大学入試情報コラム

国内最大規模の武庫川女子大学が2027年度からの「共学化」を公表し、全国の女子大に衝撃を与えた。また、東洋大学「基礎学力テスト型」入試、共通テストの「Web出願」はどうなるか?

2025年7月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

全国最大の武庫川女子大学が共学化
 2025年6月17日、全国の女子大学に衝撃が走った。国内最大規模の武庫川女子大学が、「2027年度から共学化する方針」を発表したからだ。同大学は兵庫県西宮市にあり、薬学部、建築学部、経営学部など13学部21学科に、大学院8研究科14専攻をあわせ、約1万人の学生が学ぶ女子総合大学だ。
 理由について、現在、女性の大学進学率が50%を超え、男女差がほぼなくなったことから、広く性別、年齢にかかわらず、同大の優れた環境、教育、学術研究を開くべきと考えたとしている。また、「共学化」ではなく、大学の有する教育をすべての人に開くためとして、「皆学化」であるとしている。
 共学化が報道された直後、大学の決定の透明性や、共学化の見直しを求めるオンライン署名が立ち上がり、23日で4万人を超えたと聞く。京都ノートルダム女子大学の募集停止の直後だけに、全国女子大の衝撃は大きい。

2026年も東洋大が基礎学力型を実施
 年内入試で志願者2万人超を集めて話題になった、東洋大学「基礎学力テスト型」の推薦入試が文科省を動かした。同省は6月3日、2026年春入学者の大学入試の実施要項を公表し、「これまで認めていなかった学力試験の年内実施について、小論文や面接、実技検査といった評価方法と組み合わせる場合は可能とする」と、初めて容認した。
 これを受けた東洋大学は、「基礎学力テスト型」の総合型年内入試を明らかにした。基礎学力テスト、国語または数学(100点)、英語は必須で(100点)、書類審査(調査書に記載される高校の成績など)10点、事前提出の小論文(10点)、合計220点で実施する。
 これならば、多面的な評価(書類審査+小論文)を取り入れた形で、基礎学力の評価に重点をおいた合否判定になるとしている。今後、この東洋大学と類似した方式を取り入れる大学が現れるだろう。

私立大の入学金「二重払い」軽減を!!
 文科省は6月26日、全国の私立大に対し、合格者が納付する入学金の負担軽減を検討するよう求める通知を出した。
 2023年度文科省調査では、私立大平均の入学金の二重払い額は約24万円、2024年度の全国大学生協調査(私立大・東京)約26万円だった。物価高騰の折、厳しい二重払い額だ。
 近年は入試の多様化で複数の大学に合格して入学金を納付するケースが増えており、改善を求める声が上がっていた。文科省としては、合格時に一部だけ納付する分割払いや、入学辞退時の返還などを想定している。
 これは古くて新しいテーマだが、さて大学は収入源だけに、どのように動くか?

共通テストのWeb出願は7/1~10/3
 大学入試センターは、2026年度共通テストの「受験案内」と「受験上の配慮案内」を6月20日、Webサイトで公表した。本号3月の稿で紹介したが、出願等に係る全ての手続は全志願者が個人で「共通テスト出願サイト」のマイページで行う、としている。
《Web出願の主なスケジュール》
 【マイページ作成】2025年7/1(火)10:00~10/3(金)17:00⇒【出願内容の登録】9/16(火)10:00~10/3(金)17:00 *検定料支払は同日の~23:59まで⇒【出願内容の確認・訂正】10/10(金)10:00~10/17(金)17:00⇒【受験票の取得】12/10(水)10:00~2026年4/30(木)23:59
 初めてのケースでは、何かとトラブルが発生しやすい。受験案内は80ページにわたるボリュームで、Web出願の手続きの流れや、試験概要などを解説している。

③「マイページ作成」がポイントになる
 【①事前準備】出願に必要なもの⇒*インターネットに接続されたパソコン、スマートフォン、タブレット等の電子端末、*メールアドレス、顔写真データ、*顔写真(2025年7/1以降に撮影したもの)【②出願サイトにアクセス】入試センターのウェブサイトや、「受験案内」の二次元バーコードからもできる。
 【③マイページ作成】必要事項を入力(氏名・生年月日・メールアドレス等)*メールアドレス入力後、「テストメール送信」を行い、メールが受信できることを確認。*「アカウント仮登録受付のお知らせ」メールに記載のURLにアクセスする。

仮登録完了メールが届かないトラブル
 上記まで進めば一安心なのだが、アカウント登録時のテストメールや仮登録完了メールが届かない場合は、必要に応じてメール受信設定を変更してみる。
 また、ストレージ内容が不足していないか確認する。しばらく経っても受信が確認できない場合は、別のメールサービスを利用して登録する。メールアドレスによっては、運営会社の迷惑メールフォルダーに振り分けられていないかを確認し、受信設定を変更する。この辺りが、教員のサポートどころとなる。

「支払い」が終わって出願が完了する
 【④出願内容の登録】内容は志願者情報、受験する教科、検定料の支払い方法、「在学校への出願情報の提供」同意の有無、【⑤検定料等の支払い】クレジットカード・コンビニ・ペイジーのいずれかで支払う。3科目以上を受験18,000円、2科目以下12,000円。ただし、成績閲覧希望はともに300円追加。この支払が終わって、【出願の完了】となる。
 出願内容の確認・訂正、受験票の取得・印刷、受験教科の等の事前登録(①受験教科、②「地理歴史、公民」の受験科目数、③「理科」の受験科目数、④「外国語」別冊子試験問題の配布希望)。
 ここでは、受験案内のポイントを紹介した。ただし、大学入試センターは、十分理解したうえで出願してほしいとしている。

大学&教育ウォッチャー  本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

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