第90回 大学・大学入試情報コラム

2026年度「共通テスト」から、出願手続きは志願者が自己責任で電子化して行う。志願者の負担がちょっぴり増加する。2025年私立大の志願者数は? 「年内入試」の学力試験は条件付き容認!!

2025年4月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

「共通テスト」はマイページ作成から
 2026年度入試の変更点の1つが、「共通テストのインターネット出願」だ。入試センターは3月18日、「2026年度共通テストの出願手続きの電子化」について詳細を公表した。
 電子化の目的は、志願者と高校等の利便性を図るためとし、従来の出願書類を在籍校がまとめてセンターに提出する方式ではなく、志願者本人が自己責任において出願等を行うシステムとなる。
 初めに、センターのウェブサイト上から共通テスト出願サイトにアクセスして、志願者自身がアカウント登録のうえ、「マイページを作成する」(作成期間:7月1日~10月3日)ところからスタートする。ここは、どうしても高校の指導が必要になりそうだ。

「高校サイト」から志願者をチェック
 出願に当たって準備するものは、インターネットに接続されたパソコン、スマートフォン、タブレット等の電子端末、メールアドレス、顔写真データ(7月1日以降撮影)など。    
 その後、マイページ上から「出願・検定料」「出願内容確認」「受験票」「成績通知」などで利用する。また、自校の出願者の出願状況の把握や進路指導に活用するため、「高校サイト」を開設。志願者の同意で、データの閲覧が可能になる。詳細は、入試センターのホームページで確認して欲しい。
https://www.dnc.ac.jp/news/albums/abm.php?d=435&f=abm00005282.pdf&n

私立大志願者数1位は千葉工業大
 国公私立大学とも、2025年度入試が終了した。この時期、大学別や高校別の「大学入試志願者数&合格者数ランキング」等が話題になっている。
 「私立大学別志願者数ランキング」(大学が公表した志願者数)では、1位:千葉工業大16万2005人(前年比113.6%)、2位:近畿大15万7563人(同107.1%)、3位:明治大11万5323人(同105.6%)、4位:東洋大11万3762人(同110.6%)、5位:法政大10万5107人(同102.9%)だった。
 注目は、長年トップを走って来た近畿大を抜いて、千葉工業大が1位になったことだ。同大の新分野への挑戦姿勢や受験料割引方式等が志願者増につながったとみられる。
 東京大の合格者数では、1位:開成高149人、聖光学院高95人、3位:麻布高82人、4位:日比谷高81人、5位:灘高77人だった。
 目立ったのは公立校の健闘で、日比谷高に続いて7位に横浜翠嵐高74人が入った。これは「昭和時代の合格者ランキングを見ているようだ」という関係者もいた。

「年内入試」学力試験は条件付き
 東洋大や大東文化大が「年内入試」(総合型・学校推薦型選抜)で実施した「2科目入試」は、12月の本コラムで触れた。
 文科省も一度は、「学力試験は2月1日以降」として認めなかった。しかし、先行していた関西の事情等もあり、入試の実施ルールを検討する文科省の協議会が3月13日に開かれ、容認する方向となった。
 同協議会では、「年内入試では高校の調査書や推薦書の内容に加え、『小論文や面接、実技など2種類以上の評価方法を組み合わせる』『評価方法の1つとして、基礎学力を把握する試験を認める』とのルール改定案」が示され、了承されたのだ。
 新たに導入を予定した大学も、ここまで制約が厳しくなると、効率的な選抜で合格者を短時間に決められないと、躊躇するかもしれない。5月に明らかになる、各大学の「年内入試」の募集要項を注目したい。志願者は、小論文や面接の対策が欠かせないことになる。

最近の私立大は二・三極化が進む
 2025年度入試を含めた私立大の動向を見ると、全体に二・三極化が進んでいるようだ。難関上位総合大学と言えば、「早慶上」(早稲田・慶應・上智)や「MARCH」(明治・青山学院・立教・中央・法政)、「関関同立」(関西・関西学院・同志社・立命館)を想定する。
 最近は早慶に同時合格すると、早稲田大を選ぶ受験生が多いという。特に政経学部は共通テストや数学の必須などで、レベルを上げている。また、上智大は英語試験のTEAPか共通テストが必須で、人気を落としている。
 MARCHでは、明治大がマンガやアニメなどを対象にする国際日本学部なども注目されて、志願者を増やし上位にいる。青学・立教と中央・法政がその後に続いている。
 関関同立では、京大・大阪大・神戸大の併願校になっている同志社が上位で、後に立命館・関西が続き、関学は推薦枠拡大の失敗などで人気を落とした。
 大学全体では、下位校が総合型・学校推薦型選抜で学生を集め、上位校が一般選抜で入学させる傾向にある。下位校は定員割れを防ぐために、年内入試の枠を拡大し、ほぼ無試験状態になっている大学もあるようだ。

中教審抜粋①:『知の総和』とは何?
 文科省は「中教審」(2/21公表)のタイトルを、「我が国の『知の総和』向上の未来像」とし、高等教育が目指す姿として、我が国の『知の総和』を向上させることを強調。そして、『知の総和』は、「人の数と、人の能力の掛け合わせで決まる」とした。
 我が国は危機に直面している。その危機とは、急速な少子化をはじめとした国内外の諸情勢の急激な変化にほかならない。推計によれば、我が国の総人口は、2052 年に1億人を割り、2070年には8024万人になるという。
 それらの中にあって、高等教育機関が生み出した『知の総和』を社会へと実装していくことが必要であり、我が国がさらなる成長・発展を遂げていくに当たって欠かせないものであるとしている。
 その一方で、これから先の急速な少子化は、中間的な規模の大学が 1 年間で90 校程度、減少していくような規模で進んでおり、定員未充足や募集停止、経営破綻に追い込まれる高等教育機関がさらに生じることは避けられない、と注意を喚起している。

大学&教育ウォッチャー  本間 猛:
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

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