第79回 大学・大学入試情報コラム

大学入試センターから2024年度共通テストの「問題評価・分析委員会報告書」が公表された。その報告書や変更点等を分析し、「2025年度共通テスト」の国語・英語の動向を予想した。

2024年8月
大学&教育ウォッチャー  本間 猛

「共通テスト」出願期間は9/25~10/7
 大学入試センターが7月10日、「2025年度共通テスト受験案内」を公表した。「新課程共通テスト元年」の、主な変更点などを中心にポイントを紹介する。
【試験】2025年1月18日(土)、19日(日)
【検定料】3教科以上1万8000円
     2教科以下1万2000円
【出願期間】2024年9月25日(水)から10月7日(月)まで
【旧課程履修者への経過措置】・新課程を履修していない者に対し、地理歴史、公民、数学、理科、情報において経過措置を講じる。
・旧課程履修者のうち希望する者は、旧課程科目を受験することができる。(新課程履修者は、旧課程科目を受験することはできない。)
【所持品の扱い】学習タイマー、ウェアラブル端末(スマートウォッチ・グラス)禁止。
【得点調整】対象教科・科目及び実施条件・方法を一部変更。
【追試験】2025年1月25日(土)・26日(日)

各教科・科目の変更点は押さえたい
【出題教科・科目の主な変更点】
[国語]大問を1つ追加し、試験時間は90分(10分増加)。配点は近代以降の文章が3問110点、古典が2問90点(古文・漢文各45点)。
[地理歴史・公民]必履修科目を組み合わせた出題科目1科目と、必履修科目と選択科目を組み合わせた出題科目5科目の合計6つの出題科目から最大2科目を選択解答。
[数学②]『 数学Ⅱ、数学B、数学C』の1科目を出題し、試験時間は70分(10分増加)。[理科]従前の2つの試験時間帯(理科①と理科②)を1つの試験時間帯に統合。 従前の「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4科目は、『 物理基礎/ 化学基礎/生物基礎/地学基礎 』として1科目に統合。5つの出題科目から最大2科目を選択解答。
[情報]出題教科に追加。(試験時間は60分、配点は100点)。

「問題評価」等から2025年度を予想
 大学入試センターは6月28日、今年1月に行われた「2024年度共通テスト」全30科目の外部評価結果等を公表した。
 入試センターは毎年、「問題評価・分析委員会」を設け、高校教員や関係教育団体らによる外部評価を実施し、それらの意見・評価に対する入試センター問題作成部会の見解を自己評価として掲載している。その評定等で、次年度の動向を予想できそうなのだが・・・?
 評価は、1)出題のねらい、2)出題範囲、3)題材、4)問題の場面設定、5)問題構成、6)表現・用語、7)難易度、8)得点のちらばり──の8項目で行われ、総合的観点から適切であったかを1~4段階で評定している。

前年度結果や評価を知ることが重要
 「2024年度共通テスト」の結果は、志願者数:49万1914人、受験者数:45万7608人、利用大学数:864校で、全体の平均点は前年度を上回った。因みに、国語と英語の平均点は、
 国語:24年116.50点 対前年:+10.76点
 英語R:同 51.54点  対前年:-2.27点
 英語L:同 67.24点  対前年:+4.89点
 外部評価で目立った意見は、「問題の文章量が多過ぎる」だった。しかし、知識の理解の質を問う問題や学力の3要素「思考力・判断力・表現力」等を発揮して解く問題など、バランスのとれた出題である──が、概ねの評価であり、今後も大きな変更はないだろう。以下に、国語・英語の動向を予想してみた。

「国語」は1問増も前年の流れを踏襲
 2024年度の国語では、8つの評価項目の全てが最高の評定4「あてはまる」だった。2025年度の国語は大問を1つ追加するが、試験時間が10分延長されることもあり、前年度の出題傾向を踏襲することが予想される。
 平均点は前年より10.76点アップしたが、得点率60%以内であり、2025年度に難易度を上げることはないだろう。因みに、大学入試センターは、得点率60%を目標にしている。

「英語R」は文章量の減が期待できそう
 英語リーディングの平均点は、前年より2.27点ダウンし、得点率は51.4%で受験生にショックを与えた。入試直後から、「試験時間が足りなかった」の声があがっていた。その影響か、リーディングは評価項目「問題構成」のみが、1ポイント低い評定3だった。
 さらに、「問題内容等は高く評価するが、試験時間に照らして全体の文章量が多く、大問の数を減らして構成を変更することなども検討できる」と、「問題評価・分析委員会」がコメント。受験生が時間不足で思考できないのでは、「学力の3要素」を欠くことになる。この評定等から、2025年度英語リーディングでは文章量の減少が期待できそうだが・・・。

「英語L」は多少の難化、構成等に変化
 英語リスニングの平均点は、前年より4.89点アップし、得点率も67.2%だった。また、リスニングは評価項目の「題材」と「問題構成」が、1ポイント低い評定3、残りの6項目は高評定の4だった。
 「問題評価・分析委員会」のコメントは、「題材は幅広いトピックスが求められる」「問題構成はイラスト問題の在り方、読みの回数、ワークシートのまとめ方等について、今後検討していただきたい」としている。
 上記のような流れから、2025年度英語リスニングでは多少の難化と構成の変化等が予想できるのだが、果たして、本番では?
【参考】「大学入試センター」ホームページ:2024/6/28 大学入試センター「令和6年度共通テスト問題評価・分析委員会報告書」参照

大学&教育ウォッチャー  本間 猛
東京理科大学理学部数学科1964年3月卒(参考 昭和39年:東京オリンピック・新潟地震)。元(株)旺文社取締役。中学・高校雑誌編集長,テスト部長,関西支社長等を歴任。

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