第40回　大学・大学入試情報コラム

予断を許さない「コロナ禍」の猛威。今後の推移に
よっては2023年度入試に影響を与えるかも――。共通テストは
どのように見直されるか？　そして、2023年度は英語外部検定が増加傾向!!

2022年8月
大学＆教育ウォッチャー　　本間　猛

数学は過去最低の平均点を見直しへ
　2022年度共通テストでは、数学の大幅な平均点ダウンが話題になった。平均点は数学Ⅰ：21.89点、数学Ⅰ・A：37.96点、数学Ⅱ：34.41点、数学Ⅱ・B：43.06点（いずれも100点満点）だった。出題した大学入試センターは、正答率の目標を50％としていたが、過去最低の平均点となり、その乖離、ショックは大きかった。
　文科省・大学入試センターは6月30日、高校教員や教育研究団体による外部評価を公表したが、「数学I」と「数学I・A」の2科目の評価は、問題量が多く難易度が「あまり適切でない」とされた。一方、作題した大学入試センターは、数学で「時間配分と計算量の多さで課題が見られた」と認め、検討するとした。

平均点ダウン科目は外部評価が低い
　では、他の教科・科目の評価はどうだったのだろうか。共通テスト全30科目のうち「日本史B」「生物」「数学Ｉ・A」など7科目の平均点が過去最低となったが、これらの科目に対する評価は、いずれも「制限時間に比して、問題量・設問が多すぎる」という評価が目立った。
　外部評価は、「難易度」「出題の狙い」「範囲」など項目ごとに「適切かどうか」を4（あてはまる）～1（あてはまらない）の4段階で評価しているが、正答率が50％に近かった科目については、厳しい評価が少なかったようだ。
　因みに、国語の平均点は100点満点で55.13点、英語リーディングの平均点は61.80点、英語リスニングは59.45点だったから、2023年度は逆に難化する可能性があるかもしれない。

国語・英語は前年と大きな変更なし!!？
　参考までに、国語・英語の「大学入試センター問題作成部会の見解」を簡単に紹介する。（詳細は、同センターのホームページを参照）
【国語】受験生にとっての「わかりやすさ」と、出題側が求める能力と問い方とのバランスについては、今後も難度に配慮しつつ、さらなる改善につとめたい。
文章量や難易度については懸念も寄せられており、今後も問題文を吟味し、設問の難易度や知識を問う問題と解釈や思考力・判断力・表現力等を問う問題の配分に留意したい。
【英語リーディング】大学教育の基礎力となる知識・技能の理解を問うのみならず、思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことを重視し、一方で大問ごとに難易度を設定し、幅広い受験者層に対応できる問題構成としている。
【英語リスニング】受験者が4技能の学習を強化した結果、リスニング力が全体的に向上した可能性が示唆される。受験者に過度の負担を与えることは避けつつ、聞き取ったことを瞬時に「理解・解釈」できるリスニングの流暢性を高める学習にも是非力を入れてほしい。

一般選抜で英語外部検定利用が増加
　2023年度入試の変更点等については、各大学が7月末までに公表。予備校等はその内容を9月までにまとめて、情報発信している。
　変更点の中で目立つのが、一般選抜における英語外部検定利用の拡大だ。芝浦工業大、東京経済大、法政大、甲南大、西南学院大などで、英語外部検定を新規利用する。英語4技能の高まりの中で、増加の傾向にあるのだろう。
　2022年度立教大は志願者を増やしたが、その要因は入試改革にあった。同大は21年度から一般選抜の英語個別試験は、文学部の一部試験を除いて廃止。全学部で英検やTEAPなど外部試験のスコアを導入した。
　さらに外部試験は2年以内のスコアであれば有効で、一番良かった点数を提出できるようにした。すると、英語が得意な女子にアピールしたのか、志願者が増加し、女子の比率も21年度52.5％→22年度56.1％に上昇した。
　因みに、一般選抜で英語外部検定を利用した大学は、2017年度は110校だったが、2022年度は243校に増加した。

2025年度新課程入試の情報が増える
　現高１生への新学習指導要領実施によって、2025年度新課程入試の情報量が増えてきた。
＊2025年度共通テスト：「情報」が加わり7教科。「国語」の試験時間が現行より10分延長して90分に。問題文の文字数を増やすためとされ、現代文2問、古文1問、漢文1問という現在の大問構成も変更される可能性がある。
＊2025年度東京大入試：一般選抜・学校推薦型における共通テスト利用教科・科目は、文科各類が「6教科9科目」または「7教科9科目」、理科各類が「6教科8科目」を課す。学校推薦型の出願資格は、「1浪まで」に制限。
＊2025年度以降の薬学部：文科省が新設・定員増を認めない。理由は、供給過多への対応。