第22回 大学・大学入試情報コラム
コロナ禍の中でも、受験生の進学意欲は高い。
難易を左右する変動要因とは、どのような内容のことか?
合否を決めるポイントを分析・チェックしながら、志望校を絞り込みたい!!
2021年9月
大学&教育ウォッチャー 本間 猛
2021年度学部生は過去最多だった
文科省が8月27日、「学校基本調査(速報値)」(5月1日調査)を公表。コロナ禍による授業の遅れや「共通テスト」導入など、慌ただしい特例選抜の中であったが、全国の大学の学部生が2021年度、262万5956人(対前年2384人増加)に上り過去最多に、また進学率は54.4%(対前年0.7%上昇)であった。
このうち女子学生は119万6629人(対前年3164人増、占有率45.6%)で、人数・割合ともに過去最多。一方、短大生は10万2231人(対前年5365人減)で、女子学生の4年制大学へのシフトが顕著だった。コロナ禍が家計を圧迫する状況にあっても、大学への進学志向が強まっていた。この動向は22年度も続くだろう。
「共通テスト」の利用大学は709校
秋とともに、選抜の準備が本格化する。大学入試センターは8月26日、2022年度「共通テスト」利用大学865校を公表した。
このうち4年制大学の内訳は、国立大学82校、公立大学93校、私立大学534校で計709校(対前年2校増)となり、国公立大学を中心に「一般選抜」、「総合型選抜」、「学校推薦型選抜」等で利用、また私立大学では「共通テスト利用選抜」を実施する。
各大学は7月31日までに、最終の「選抜要項」を公表することになっている。それらの情報を分類し、出版社や予備校等が選抜科目・配点一覧などを8月にまとめ、9月に情報を提供している。もちろん、各大学はホームページなどで、自校分を紹介している。
受験生は志望大学の情報を頭に入れて、現在の実力、残り6か月間の頑張り等を勘案して、受験大学を絞り込んでいくことになる。
選抜の科目・定員・日程等の変更は?
まず、「選抜要項」などの情報から、何をチェックすべきかを紹介してみよう。志望大学・学部・学科で、以下に挙げるような項目の実情、大きな変更点などがあるかを確認する。
<ポイント1>大学による変動要因
① 新増設・改組・選抜科目の変更など
② 定員の変更(大規模私大の定員厳格化等)
③ 配点や選抜の日程・会場の変更
④ 大学のオンライン授業の状況・環境
<ポイント2>選抜動向による変動要因
① 応募状況・前年の実質倍率(隔年現象)
② 前年の合格最低点
③ 志望の特徴(卒業後の就職状況など)
④ 現浪・男女・他府県からの流入・流出比率
<ポイント3>受験生による変動要因
① 自己の実力(偏差値)
② 得意科目(不得意科目)
③ コロナ禍による家庭状況の変化など
④ 小論文・オンライン面接・実技の対策
前年までの入試データも必要になるから、志望大学のホームページにアクセスして、過去の状況もチェックする。
22年は都市部の大学にも挑戦したい
志望校を絞り込む段階で、22年度はどのようなことに注目すべきか、を挙げておく。
因みに、現段階では憧れ、地元、都市部を含めて、10~15校ぐらい志望校があってもおかしくない。むしろ多い方が良いくらいだ。
自分の将来の夢、やりたい仕事等がまだ明確でない場合は、当然のことながら選択肢が広くなるから、志望大学が多くなる。
コロナ禍がなかなか収束しそうにないが、いずれ下火になる。その時のために、ポストコロナについても考えて、自分の将来を思い描こう。21年度は「地元志向」が強かったが、22年度は都市部の憧れの大学1校でもいいから、挑戦したい。合格のチャンスかもしれない。
英語外部検定試験の利用大学が増加
次に、合否に影響を与えそうな22年度の目立つ変更点を列挙しておこう。
【1】「共通テスト」英語の配点比率の変更
⇒英語の得意・不得意によって、影響が大きい。私立大学では、独自+共通テスト併用の方式が増えている。また、英語外部検定の利用も増えている
【2】英語外部検定試験の利用拡大
⇒22年選抜では外部検定試験を利用する大学が増えている。大学によって、利用の仕方に違いがあり、出願資格・得点換算・加点のケースが多い。
【3】調査書の点数化の増加
⇒「主体性の評価」は減少傾向。全体的には、「共通テスト」導入、外部英語の利用・記述式の中止など、変更点は少ない。